研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

大畑 絵美 さん

就職先
テュフズードジャパン株式会社 MHS事業部非能動医療機器部 審査員
修了年度
2009年度(博士) 分子発生生物学

闘病する子どもたちやその家族の役に立つことがしたい

大畑 絵美さんの近況写真

私は、分子発生生物学講座(高橋淑子教授)の一員として、NAISTと理化学研究所 発生再生科学総合研究センター(現・理化学研究所 多細胞システム形成研究センター(CDB))でニワトリ胚とマウス胚の実験に明け暮れる毎日を過ごし、2009年に博士号を取得しました。引き続きポスドクとして研究を続け、任期が切れる頃に、研究を続けるかの分岐点にきました。世界で通用する研究者になりたいと思い、当然のように次は海外へ行こうと考えていましたが、ちょうどその頃バイオのバックグラウンドを生かせる仕事があると紹介され、思い切って方向転換しました。それが顕微鏡メーカーの技術営業の仕事でした。担当したのはレーザー顕微鏡で、共焦点顕微鏡や二光子励起顕微鏡といった大型のイメージングシステムです。関西圏を中心に、西日本の大学・研究施設を訪問し、顕微鏡の説明、ユーザーサポート、商談デモなどを行いました。研究生活しか知らなかった私には、企業での日々はとても新鮮でしたが、技術営業という仕事柄、お客様に対しても社内に対してもサポート的な立場に立つことが多く、次第にもっと主体的に仕事がしたいと思うようになりました。

折しも、2013年に息子を出産し、病院に関わることが多かったことから、闘病する子どもたちやその家族の役に立つことがしたいと考えるようになりました。そんな時に、現在の仕事の話が舞い込みました。ドイツに本社を置く認証機関の審査員という仕事です。とはいっても、最初はまったく何の仕事なのかわかりませんでしたし、世の中にこんな仕事があることも知りませんでした。カテーテル、シリンジ、包帯、コンタクトレンズ、手術器具、体内に埋め込む人工関節や人工骨など様々な非能動医療機器(電力を使用しない医療機器)が安全かどうか、製造や販売を行う会社のシステムが、国際規格や厚生労働省の要求事項を満たしているかどうかを確認(審査)するのが私の仕事です。社内での文書審査もありますが、基本的にはお客様の会社を訪問し、現地で審査を行います。規格や法の理解はもちろんのこと、医療機器に関する話をするわけですからバイオの知識は欠かせませんし、お客様とコミュニケーションを取りながら行うサービス業でもあります。トータル的な能力が必要とされる、とても難しくかつおもしろい仕事だと思います。医療機器の安全性は生命に直結するので、社内でトレーニングや試験が頻繁にあり、それらを通して審査員の資格を取得・維持していきます。私も先日、ようやく審査員資格の初めての申請を行い、現在ドイツ本社で私の資格認定が協議されているはずです。

息子は1歳7カ月になりました。子育てと仕事の両立は想像以上に大変です。悩むことも多々ありますが、今できることを前向きに頑張っていこうと思っています。息子が生まれてきてくれて、私の価値観はガラッと変わりました。子育ては本当にすばらしく、おもしろく、感動の連続です。ただ時間の制約は大きく、限られた時間の中で物事を効率よく進めていく必要があります。今、私がなんとかやっていけるのは、周囲の人の協力はもちろんのこと、NAISTでたくさんの人と出会い、学び、道草や失敗も含め様々な経験をしてきたからこそと思います。後輩の皆さんには、NAISTでの時間を最大限活用して、たくさんのことを経験してほしいと思います。


【2015年03月掲載】

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