メディカル生物学分野 Biomedical Science

機能ゲノム医学研究室では、教員3名が力を合わせ、以下の三つの遺伝子の生理機能や病気への関わりに ついて、研究を進めています。PD-1(石田グループ)、HtrA1(岡グループ)、CIBZ(松田グループ)。

研究テーマ

  1. PD-1の生理機能に関する研究
  2. 様々なヒトの疾患に関わる分泌型セリンプロテアーゼHtrA1の研究
  3. 転写因子Zbtb38の機能解析
免疫学的な「自己」の範囲を少しだけ拡大することにより、加齢などの影響で微妙に変化した自分の細胞へ免疫応答が引き起こされるのを回避するために、高等動物はPD-1を獲得したのだろうか?
腫瘍細胞の増殖、分化、生存を制御する分化メカニズムを明らかにします。

研究テーマ

  1. 腫瘍細胞の増殖、分化、生存を制御する分子メカニズム
  2. 白血病と癌の幹細胞
  3. がん代謝
がん細胞は正常細胞から生まれる
分子免疫制御研究室では、ウイルスや細菌に対する自然免疫応答について研究をしています。自然免疫は免疫反応の入り口であり、炎症反応や獲得免疫の誘導に必要な生体防御です。私たちは自然免疫の仕組みの解明を通して、ワクチン開発や自然免疫の破綻により生じる炎症性疾患の治療に繋げていきたいと考えています。

研究テーマ

  1. 自然免疫受容体を介したシグナル伝達経路の解析
  2. 新たな自然免疫認識機構や炎症誘導機構の解析
  3. 新たな免疫制御法の確立
免疫応答の概念図。免疫系は自然免疫と獲得免疫に大別される。自然免疫は病原体の発見と初期攻撃を行う防御システムであり、マクロファージや樹状細胞が中心的役割を果たしている。獲得免疫は、ヘルパーT細胞、キラーT細胞や抗体産生細胞により形成され、病原体に対して高い特異性を有している。獲得免疫の誘導には自然免疫の活性化が必要となる。
タンパク質や脂質の組み合わせによる細胞の構築とその破綻による疾患形成を研究します。

研究テーマ

  1. 細胞膜の形態を形成するタンパク質と細胞膜の形態に依存した細胞内シグナル伝達、特に細胞のがんとの関連
  2. 深層学習(AI)による細胞の形態解析
研究室で対象としている細胞の形態形成を担うタンパク質(アクチンやBARドメイン、F-BARドメイン、I-BARドメインなどの膜結合タンパク質)と脂質の例(Suetsugu et al., Phys Rev 2014より)。
BARドメインは、突起(糸状仮足と膜状仮足を含む)及び、ミクロン以下のスケール陥入部(例えばクラスリンで被覆した穴とカベオラ)のポリマーとして機能し、微細構造を形成します。クラスリン被覆小孔とカベオラのための典型的大きさは、それぞれ、直径100-200nmと、直径50-100nmです。 BARドメインは、3-6nmの直径の20-25nmの弧として近似できます。 膜の厚さは、およそ5nmです。
RNAをキーワードに遺伝子発現制御機構の理解を目指しています。遺伝子の異常が疾患をひきおこす仕組みの解明にもつながる大切な分野です。古典的な生化学や遺伝学に加えバイオインフォマティクス解析など、様々な技術を組み合わせ、学生が主力となって研究を進めていく研究室です。

研究テーマ

  1. miRNA発現制御機構
  2. miRNA生合成経路の多様性
  3. 小分子RNA生合成経路の進化
遺伝子発現ネットワークとその機能の重要性
幹細胞の分化実験は、丁寧で細かい作業をこなし、鋭い観察眼で細胞の状態を見極めつつせっせと培養し、遺伝子発現等で解析する必要がありますが、それができる人にはとても楽しい研究分野です。組織も顕微鏡で見るととても美しく感動します。

研究テーマ

  1. 胃組織の形成と疾患
  2. 肺組織の分化と組織再生
  3. 脂肪組織の幹細胞と組織再生
マウスES細胞から試験管内で3次元培養により分化させた胃組織。左図は、分化培養開始後56日目の胃組織の組織切片像。右図は、胃の上皮組織をEpcam抗体(赤)、間質組織をDesmin抗体(緑)、核をDAPI(青)で免疫蛍光染色した切片像。間質組織で覆われた胃腺構造を有する胃組織を試験管内で分化させることができる。
動物の器官が形成される仕組みや、またその機能が生涯にわたって維持されるメカニズムを研究しています。特に、遺伝子変異マウスや胚性幹細胞、ニワトリ胚などをモデルとして扱い、発生や機能の異常がどのように起こるのかを細胞レベルで明らかにし、その治療法を開発します。

研究テーマ

  1. 中枢神経系の発生に関与するシグナル伝達経路の解明
  2. ソニック・ヘッジホッグシグナルの分子基盤に関する研究
  3. 神経細胞の機能維持に関する研究
発生開始後4日が経過したニワトリ胚
異なったゲノム情報を持つ細胞が1個体の中に混ざって存在するキメラ動物は、発生工学技術により人工的に作られる動物モデルです。このようなキメラ動物は、これまで遺伝子の機能解析をはじめとした生命科学研究の発展に貢献してきました。私たちの研究室では、キメラ動物を用いて、個体発生、臓器形成のメカニズムを知り、再生医療につながる研究をしています。

研究テーマ

  1. 異種キメラを用いた臓器形成モデル
  2. 新規動物モデルの開発
異種キメラの作出方法:マウスの胚盤胞にGFP遺伝子によって緑に光るラットのES細胞を注入して、偽妊娠マウスの子宮に移植すると、ラットの細胞(緑)を持つ異種キメラが誕生する。