研究成果の紹介
微生物インタラクション研究室の淺田 瑞季さん(博士前期課程2年)が「日本農芸化学会トピックス賞」を受賞
微生物インタラクション研究室の淺田 瑞季さん(博士前期課程2年)が「日本農芸化学会トピックス賞」を受賞しました(2025年3月7日)。
受賞のコメント
このたびの受賞、大変光栄に存じます。ご指導いただいた先生方に心より感謝申し上げます。これからも精進してまいります。

受賞研究課題名
高温環境下におけるさまざまな酵母の新たな適応メカニズムの解明
受賞団体名
日本農芸化学会
受賞内容
生物は特定の温度範囲でのみ生育が可能であり、生育上限温度を超える高温環境下では著しく生育が阻害されます。我々は最近、分裂酵母S. pombe においてTORC1阻害剤であるラパマイシンを培地に添加することで、通常は生育できない高温環境下での生育が可能となり、生育上限温度が上昇することを発見しました。TORC1とは、酵母からヒトにまで高度に保存されたセリン・スレオニンキナーゼ「TOR」を中心に、いくつかの制御サブユニットと共に形成される複合体であり、栄養源に応答して様々な基質をリン酸化し、細胞の増殖や代謝を制御します。通常、増殖を促進するTORC1が、逆に高温下では生育を抑制している可能性が浮上しました。本研究では、この制御機構が他の生物種にも保存されているのかを検証するため、S. pombe以外の分裂酵母および出芽酵母S. cerevisiaeに対し同様の実験を行いました。
その結果、いずれの酵母においてもラパマイシン添加で生育の上限温度の上昇が確認されました。さらにS. cerevisiaeのTORC1経路関連因子(Gtr1、Tor1、Sch9)の遺伝子破壊株では野生型株と比較して高温下での生育が促進されました。これらのことから、Gtr1-TORC1-Sch9経路が高温下での生育抑制に寄与することが示唆されました。本研究で得られた出芽酵母に関する知見は、バイオエタノール生産時の発酵熱による酵母の生育不全を改善する手がかりとなる可能性があります。
【微生物インタラクション研究室】
研究室紹介ページ:https://bsw3.naist.jp/courses/courses313.html
研究室ホームページ:https://bsw3.naist.jp/microbial_interaction/
(2025年04月01日掲載)