研究成果

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バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室の高木博史教授が公益社団法人日本生化学会の平成28年度「JB論文賞」を受賞

バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室の高木博史教授が公益社団法人日本生化学会の平成28年度「JB論文賞」を受賞しました(平成28年9月26日)。本賞は、日本生化学会の英文誌「The Journal of Biochemistry(JB)」に掲載された優れた論文の著者を顕彰するためのものです。本賞では、受賞年の前年中にJBに掲載された10篇以内の論文を選出し、各々の著者に賞状と副賞を贈呈しています。 

受賞コメント

今回、酵母を用いて真核生物に保存されたNedd4ファミリーユビキチンリガーゼによる基質認識機構の解明に資する知見が得られました。特に、WWドメインがユビキチン化の対象となる多様な基質を選択的に識別する機構についてはほとんど分かっておらず、本研究により独自に見出された新規な変異がその解明の手がかりとなると思われます。今後、得られた基礎的知見を活用し、発酵生産環境におけるストレスに強い産業酵母の育種、ユビキチン化を介した「タンパク質品質管理」を基盤とする創薬シーズ探索などに貢献したいと考えています。実際の研究に取り組んだインドネシアの留学生Indah Wijayantiさん(現・ボゴール農業大学講師)、Indahさんの研究を粘り強くサポートしていただいた渡辺大輔助教、大城聡氏にこの場を借りて深く感謝いたします。また、本論文を「JB論文賞」にご推薦いただいたバイオサイエンス研究科・河野憲二教授に厚く御礼申し上げます。

http://www.jbsoc.or.jp/support/paper

受賞した論文の内容 

「ヒトα-シヌクレインの毒性を緩和する酵母ユビキチンリガーゼRsp5変異体の単離と機能解析」
酵母Saccharomyces cerevisiaeの生存に必須でNedd4ファミリーに属しているユビキチンリガーゼRsp5は、ストレスで生成する異常タンパク質の選択的な認識・分解に関与すると考えられている。本論文では、Rsp5の基質タンパク質の認識に関与する「WWドメイン」にランダム変異を導入し、パーキンソン病など神経変性疾患の原因タンパク質として知られるヒトα-シヌクレインの過剰発現による毒性を軽減するRsp5の変異体を複数取得した。
   このうちPro343Ser変異体は、α-シヌクレインのユビキチン化を介した分解を促進した。一方、Thr255Ala変異体は、α-シヌクレインの分解には影響を及ぼさなかったが、細胞の酢酸耐性を向上させ、酢酸存在下でのエタノール発酵が改善された。Hog1 MAPキナーゼ経路に影響を及ぼす可能性も示唆された。さらに、アミノ酸パーミアーゼGap1の分解を促進するThr357Ala変異体はα-シヌクレインによる毒性を軽減しないことから、Rsp5によるα-シヌクレインとGap1の認識に関わるアミノ酸残基が異なることが示された。以上の結果から、Rsp5のWWドメインが異常タンパク質認識の特異性・多様性を生み出すことで、酵母は様々な環境ストレスに対する適応能力を獲得すると考えられる。 

関連する論文 

Indah Wijayanti*, Daisuke Watanabe*, Satoshi Oshiro, and Hiroshi Takagi: Isolation and functional analysis of yeast ubiquitin ligase Rsp5 variants that alleviate the toxicity of human α-synuclein. *These authors contributed equally to this work. Journal of Biochemistry, 157, 251-260 (2015). 

向かって左端が高木博史教授

【ストレス微生物科学研究室】

研究室紹介ページ:http://bsw3.naist.jp/courses/courses305.html
研究室ホームページ:http://bsw3.naist.jp/takagi/

(2016年10月12日掲載)

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