花発生分子遺伝学研究室

卒業生の声 R7年度

石山 凜


R7年度修士修了 / 就職


自分の研究について


モデル植物シロイヌナズナにおいて、高温応答の中心的な制御因子としてHEAT SHOCK FACTOR A2(HSFA2)が重要です。HSFA2遺伝子からは4種類のスプライスバリアントが生じ、その結果、2 種類の異なるタンパク質アイソフォームが翻訳されます。しかし、一方のアイソフォームはin vitroにおいてDNA結合能を示さないことが報告されており、生体内でどのように作用するのかは明らかではありませんでした。本研究では、この一方のアイソフォームがin vivoにおいてどのように他の因子と協調して機能し、標的遺伝子群を通じて高温応答ネットワークに加えて独自の経路をどのように制御しているのかを解明することを目的としました。

先端大での思い出


 伊藤研で大学院生活を過ごすことができ、充実した2年間でした。授業や実験、学会発表、就職活動、そして修士論文の執筆など、多くの経験に恵まれた日々だったと感じています。中でも、実験とその集大成である修士論文の執筆は印象に残っています。
先生方や同期、先輩、後輩の支えがあったからこそ、最後までやり遂げることができました。また、研究室では新入生歓迎会などの行事もあり、研究以外の時間も含めて楽しい思い出ばかりです。振り返ればあっという間の2年間でしたが、学生生活の最後を伊藤研で過ごせて良かったです。

後輩へのメッセージ


大学院の2年間は、さまざまな行事や課題があり、ときには大変に感じたり、進路や研究について悩んだりすることもあると思います。しかし、研究室には先生や親身に支えてくださる技官さん、頼れる同期、そして温かい先輩や後輩がいます。困ったときには一人で抱え込まず、ぜひ周りを頼ってください。きっと力になると思います!

 

逢阪 悠夏


R7年度修士修了 / 就職


自分の研究について


被子植物の胚乳発達を制御する分子メカニズムに関する研究を行いました。被子植物の胚乳は、種子の成長に必要な養分を蓄える組織であり、その発達の度合いが種子の最終的な大きさを決定します。この胚乳発達は、促進的に働く父方ゲノムと、抑制的に働く母方ゲノムの拮抗的な作用によって制御されています。この現象は、父母いずれかの対立遺伝子のみが発現する「ゲノムインプリンティング」によるものですが、その詳細な仕組みについては未解明です。そこで、シロイヌナズナをモデルとし、父母それぞれの遺伝子機能を欠損させた変異体を用いて、胚乳の表現型解析や遺伝子の発現変動を調査しました。

先端大での思い出


研究面では、先生方や技官の方々の手厚いサポートが何より印象に残っています。特に修士論文の作成にあたっては、提出直前まで何度も添削していただき、発表スライドの構成についても一緒に考えていただきました。これほどまでに親身になって支えていただいたことが、最後までやり遂げる大きな力となりました。生活面では、同期や先輩、後輩と食事に行く機会に恵まれ、共に過ごした時間はかけがえのない楽しみとなりました。互いに励まし合いながら過ごした日々の交流が、研究生活の大きな支えであったと感じています。

後輩へのメッセージ


切磋琢磨できる仲間がいて、それを支えてくださる方々がいる環境で研究に打ち込める時間は、非常に恵まれたものであり、人生においても大変尊い時間であると感じています。研究を進める中で、思うような結果が出ず苦しい時期もあるかもしれません。しかし、必死に取り組んだ経験は、たとえ目に見える形にはならなくとも、自分自身の糧となり、どこかで必ず役に立つはずです。
 伊藤研での時間を、ぜひ大切に楽しんでください。応援しています!

 

太田 崚介


R7年度修士修了 / 進学


自分の研究について


被子植物は、その多様な生殖戦略の一環として「花」という精巧な器官を進化させてきました。花の中でも、蜜を分泌する器官である蜜腺は、植物と動物の共進化において極めて、重要な役割を担っています。蜜腺から分泌される糖やアミノ酸を豊富に含む蜜は、花粉を運ぶ昆虫や鳥などの送粉者にとって魅力的な報酬となります。この報酬を介した関係によって、植物は自身の花粉を効率的に他の個体へ運搬させ、遺伝的多様性を維持しつつ子孫を残すことができます。そのため蜜腺がどのように形成され、機能するかという分子メカニズムを明らかにすることは商物の生存戦略を知るうえで重要なことです。

先端大での思い出


先端大では、研究に集中できる環境が整っていることに加え、学内で気軽にリフレッシュできる点が印象に残っています。夜に友人とBBQをしたり、テニスを楽しんだりと、施設を活用することで、良い息抜きとともに研究への意欲も自然と高まりました。また、同じ分野の仲間だけでなく、異なる分野の学生とも交流する機会が多く、日常の何気ない会話から新しい視点や発想を得られることもありました。研究に行き詰まったときでも、こうした環境のおかげで気持ちを切り替えやすく、前向きに研究に向き合い続けることができたと感じています。

後輩へのメッセージ


学部時代とは異なる分野に進むことに、不安を感じる方も多いと思います。実際、最初は専門用語や考え方の違いに戸惑うこともあるかもしれませんが、先端大では先生方がとても親身に指導してくださり、基礎から丁寧にサポートしていただけます。分からないことがあっても気軽に相談できる環境が整っているため、少しずつ理解を深めながら研究に取り組むことができます。また、周囲にも同じように分野を変えてきた学生が多く、お互いに助け合いながら成長できる点も大きな魅力だと感じました。最初の不安は決して特別なものではないので、安心して新しい分野に挑戦してみてください。

 

岡本 彩伽


R7年度修士修了 / 就職


自分の研究について


私は、イソプレンによる植物の遺伝子発現制御機構について研究していました。植物は揮発性有機化合物を放出して環境に適応しており、その代表例がイソプレンです。イソプレンは植物の成長促進や高温耐性の向上、昆虫からの食害防御など、様々な生理機能に関与すると考えられています。しかし、どのような分子機構を介して遺伝子発現やシグナル伝達を制御しているのかは未解明でした。そこで私は、イソプレンが植物の遺伝子発現に与える影響を明らかにすることを目的として研究を行いました。イソプレンを生成する植物や処理を行った植物を用いたRNA-seqやChIP-seqなどの遺伝子発現解析に加え、エチレンシグナル伝達との関連にも着目し、分子遺伝学的解析を組み合わせてその分子基盤の解明に取り組みました。

先端大での思い出


印象に残っているのは、研究室の同期や先輩、後輩と過ごした2年間の日常です。入学前から伊藤研の先輩方が親身に相談に乗ってくださり、温かい雰囲気のラボだと感じていましたが、その印象は入学後も同じでした。先生方はひとりひとりに向き合い、時には厳しくも的確にご指導くださいました。社会に出る前に多くを学べたことは、貴重な経験になったと思います。
何より、同期と過ごした時間が一番の思い出です。毎日院生室でお昼ご飯を食べながらくだらない話をしたり、夜ご飯を作って食べたり。就職活動や修士論文など大きな出来事が続く中でも、相談できる先輩や切磋琢磨できる同期がいたから、最後までやり切ることができました。
人に恵まれ、充実した2年間でした。それに尽きるなと思います。心から感謝しています。

後輩へのメッセージ


2年間はあっという間です。悔いのないように、全力で取り組んでみてください。大変なことや不安になるときもあると思いますが、周りをたくさん頼って前に進んでみてください。特に、同期と過ごす何気ない時間が、思っている以上に支えになります。伊藤研での2年間を、どうか楽しんでください。大丈夫。応援しています。

 

木谷 光里


R7年度修士修了 / 進学


自分の研究について


細胞は、細胞特有の機能を持つために、幹細胞から始まる分化を適切に終結させなければなりません。私は、多くの陸上植物が持つ孔辺細胞と、アブラナ目植物に特有のミロシン細胞を研究対象とし、細胞分化の終結を制御する分子機構について解析を行いました。興味深いことに、この2種類の細胞は共通の分子ネットワークにより細胞分化が進行します。その中でも、それぞれの細胞に共通して分化の終盤で発現するSCAP1転写因子に着目しました。構造生物学や分子遺伝学的な解析を組み合わせることで、SCAP1転写因子が分化を終結させる新規の機能があることが示唆されました。

先端大での思い出


入学当初は、所属研究室の決定のための研究室の見学など、研究内容を知る機会が多く、どの研究も魅力的でとても迷ったのが印象に残っています。伊藤研は人数が多く、困ったときはすぐに誰かに相談できる環境です。植物の研究が初めてだった私は、その環境にとても助けられました。発表の直前には、グループの垣根を越えて発表練習を行うので、さまざまな視点からの意見が得ることができ、より自身の研究テーマの理解が深まりました。先生方や先輩、後輩の皆さんの支えがなければ、充実した研究ができなかったと感じています。たまに研究室のメンバーでバーベキューをしたり、大学から出てご飯を食べに行ったことも、すてきな思い出になりました。伊藤研での研究活動や日常生活は、とても充実していて、あっという間の2年間でした。

後輩へのメッセージ


研究室で過ごした日々は、思うように研究や書き物が進まず、焦ることがありましたが、すぐに先生方や先輩方に相談することができたので、気持ちを切り替えて取り組むことができました。修論発表や学会発表は、大きな労力が必要ですが、研究室のメンバーの力を借りながら一つ一つ問題点を解決することで乗り越えられました。伊藤研は、努力できる環境が整っています。短い2年間でしたが、多くの経験を積み、成長することができたと思います。諦めず、努力することで、きっといいことがあります。そして、研究生活を楽しんでください。

原田 晟那


R7年度修士修了 / 就職


自分の研究について


植物の開花時期を制御する化合物の細胞内標的因子の機能解析に取り組んできました。植物は花を咲かせると葉の成長が停止するため、葉物野菜の収量を増やすには開花時期を遅らせることが重要です。私は、開花を抑制する低分子化合物に着目し、それが細胞内のどの因子を標的として機能しているのか、その分子メカニズムの解明を試みました。この標的因子の機能を分子レベルで明らかにすることで、将来的に薬剤で開花を制御するという新たな農業技術を実現するための重要な一歩となります。本研究で得られた知見が、将来の食糧増産や農業の応用に繋がることを期待しています。

先端大での思い出


入学当初は不安もありましたが、先生方や先輩方、技術補佐員やスタッフの皆様が手厚くサポートしてくださり、常に安心して研究に打ち込むことができました。就職活動や講義、さらには学会発表など、やるべきことに追われる多忙な日々でしたが、振り返ればそのすべてが良い経験でした。何気ない日常の会話や研究室のイベントはもちろん、実験が思うようにいかなかった時間も、今では大切な思い出です。伊藤研は本当に居心地が良くて、かけがえのない充実した2年間を過ごすことができました。

後輩へのメッセージ


修士課程の2年間は、本当にあっという間に過ぎ去っていきます。研究を進める中で、思うような結果が出ず、迷ったり悩んだりする場面もあるかもしれません。しかし、この研究室には、困ったときにいつでも相談に乗ってくださる先生方や技術補佐員の方々、そして共に切磋琢磨できる先輩や同期がいます。 このような恵まれた環境の中で研究に打ち込める時間は、とても貴重なものです。悔いのないよう充実した研究生活を送ってください。応援しています、頑張ってください!

山崎 聖翔


R7年度修士修了 / 進学


自分の研究について


シロイヌナズナにおける胚乳発達の分子機構について、研究を行いました。被子植物の胚乳では、ゲノム刷り込みという父母どちらかのアレルから遺伝子が発現する現象が知られており、父方から発現する父方インプリント遺伝子、母方から発現する母方インプリント遺伝子が存在しています。当研究室で新たに同定された父方インプリント遺伝子(AEGEUS)は、既知の母方インプリント遺伝子であるMEDEAと拮抗的に作用することが分かっていましたが、その詳細な分子機構については不明でした。そこで私は、受粉後3日目の未成熟種子を用いて、AEGEUSを対象としたChIP-seqを行い、胚乳発達の初期段階における遺伝子ネットワークの解明を行いました。

先端大での思い出


振り返ってみれば、あっという間に2年間が過ぎていましたが、講義に実験、学会や修士論文などなど、イベント尽くしで非常に濃い大学院生活を送れたと思います。私はこれまで植物を実験で扱ったことがなく、右も左も分からない状態だったのですが、卒業まで漕ぎつけることができました。これもひとえに先生方や技術補佐員の方々の指導の賜物です。本当にありがとうございました。研究ばかりでなく同期にも恵まれ、新鮮で楽しい日々を送ることができました。夏には花火をしたり、リフレでゲームをしたり、ご飯を食べに行ったりと、リフレッシュもしつつ大学院生活を送れたのは思い出に残っています。皆さんには心から感謝しています。

後輩へのメッセージ


NAIST、特に伊藤研は研究環境として素晴らしい場所だと思います。高性能な機器も揃っており、先生方も他のメンバーも真摯に相談に乗ってくださるため、研究生活で生じる様々な困難も、最終的には乗り越えられるようになります。きっと何とかなるので、息抜きをしながら、適度に頑張りましょう。いま在籍している後輩も、これから入学する後輩にとっても、これからの生活が充実したものになりますように!