卒業生の声 R3年度

井 阪 阿 怜


R3年度修士修了/就職


自分の研究について


植物の交配を異なる系統同士で行い、より大きな果実や葉を得る仕組みの研究をしています。これを「雑種強勢」といい、広く農業に利用されていますが詳しいことは分かっていません。自身の研究テーマを何にするかとても迷いましたが、雑種強勢に関してはまだまだ分かっていないことが多い分野であること、研究意義の大きさが最終的な決め手となりこの研究を選びました。

先端大での思い出


2年間という長いようで短い研究生活の中で、ラボメンバーの存在がとても大きく、皆が居たからこそ2年間を楽しく過ごすことができたと思っています。僕たちが入学した年はコロナの禍中にあり、例年行われる仮装マラソンがなかったり、授業もオンラインと他の研究室の同期との交流が少ない代でした。そのような状況だったからこそ自然と研究室内で過ごす時間が増え、日常の何気ない会話が本当に楽しかったです。先生方や技術補佐員の方々もとても優しく、研究に関しても何不自由なくさせていただけたので伊藤研に入って良かったと心から思います。

後輩へのメッセージ


大学院での2年間を後悔することなく全力で過ごしてほしいです。研究はもちろん、就活、学生時代にやり残したことでもいいです。全力でやりきった先には、きっと自分の進む道が見えてくると思います。僕は伊藤研で研究活動を自由にさせてもらって、研究よりも他の分野に強みがあると感じ、研究とは異なる道を選びました。後悔は全くありません。それは自分なりに研究に向き合って就活も全力で取り組んだ結果だからだと思っています。皆さんも自分が進みたいと思う道に進んでください。「植物の研究室だから。」「大学院まで来たし研究職以外はダメなのかな。」と思う必要はありません。伊藤研は本当に良い場所です。しっかりと2年間自分と向き合う時間を作れますし、研究も心ゆくまでできます。そのような恵まれた環境に居る皆さんが、後悔することなく充実した学生生活を送れることを願います。

良 真 由


R3年度修士修了/就職


自分の研究について


陸上植物に共通してみられる孔辺細胞とアブラナ化植物に特異的に見られるミロシン細胞という異形細胞の分化機構を解明する研究を行っていました。孔辺細胞とミロシン細胞の分化にはマスター転写因子であるFAMAが共通して作用しています。FAMA下流の網羅的な遺伝子解析を進めることで、それぞれの細胞分化のメカニズムを明らかにしようとしています。また、両者の細胞分化の共通性と特異性を明らかにすることは、植物がどのように独自の機能を獲得し、進化を遂げてきたのか解明する鍵になると期待されます。

先端大での思い出


初めてのことばかりだったので、毎日が新鮮で楽しかったです。学部では分子遺伝学を専攻していなかったのですが、先生や先輩方、技術補佐員のお母さん方が懇切丁寧に教えてくれたおかげで、着実に成果を出すことができました。研究の節目節目で同期とラーメンを食べに行ったこともいい息抜きになり、のびのびとした学生生活を過ごせたと感じています。

後輩へのメッセージ


最初のころは研究のモチベーションが上がらず辛いことも多かったですが、今ではやる気を持って一生懸命取り組めたと感じています。それは伊藤研の皆さんのおかげだと心底思います。この経験は自分の中でかけがえのない財産になりました。何か一つのことに集中して努力することは社会人になると難しくなってしまうと思います。研究に限らずこの学生生活で皆さんが「一生懸命になれること」を見つけてもらえたら嬉しいです。皆さんが今後自分の人生を選択していく上で必ず役に立つと思います。応援しています!

長 島 晃 太


R3年度修士修了/就職


自分の研究について


植物には一度受けた高温の経験を記憶し、次回の高温ストレスに備えて耐性を強化する仕組みがあります。私は、獲得高温耐性 (あるいは高温順化)と呼ばれるこの機構に着目して研究を進めてきました。これまでに獲得高温耐性を制御する因子として、転写因子HSFA2やヒストン脱メチル化酵素JMJが同定されていましたが、それらがどのように関わりあって機構を制御しているかは明らかになっていませんでした。私は、これらの因子の機能を欠損させた変異体を用いて、表現型や下流遺伝子の発現パターン、ヒストン修飾状態の解析などを通じて、両因子の分子遺伝学的な関係解明を目指しました。また、植物の発達において重要とされる様々なヒストン修飾因子に着目し、獲得高温耐性を制御する新規因子の同定も進めました。

先端大での思い出


奈良先端大は周りに何もない分、大学の中の設備はとても充実しています。研究に打ち込むのに十分な環境が整っており、新たに大学院で始めたテーマでも無事最後までやり遂げることができました。特に伊藤研は先生方や技官さん、先輩方のサポートが手厚く、自分の研究テーマに対して右も左もわからなかった僕にも親切に指導してくださり、本当に感謝しています。研究だけでなく、同期の皆と過ごした時間も、大学院生活において欠かすことのできない大切な時間でした。正直居心地が良すぎて卒業するのが嫌です。

後輩へのメッセージ


今でも、2年前にこの場所に来た日のことは鮮明に思い出せます。この文章を書いている今、あれから2年の月日が経ったということが信じられません。大学院生の2年は本当に一瞬で過ぎ去ります。残された時間を大切に過ごしてください。研究でつまずくことも、就活が思うようにいかないこともあると思います。シロイヌナズナを見るのも嫌になることがあるかもしれません。発表スライドや論文を作るのが辛くなることもあるかもしれません。そんな時は無理をせず、肩の力を抜いてラーメンを食べに行ってください。息抜きも研究や就活と同じくらい大切な時間だと僕は思います。いつか、どこかで伊藤研の皆さんと再会できる日を楽しみにしています。

下 保 瑶 己


R3年度修士修了/就職


自分の研究について


私は、植物の種子を大きくする研究を行いました。被子植物の胚乳発達には父母ゲノムが拮抗的に作用し、母方ゲノムは抑制的に、父方ゲノムは促進的に作用します。この機構はゲノミックインプリンティングにより制御される父母いずれかの対立遺伝子のみが発現するインプリント遺伝子の働きにより説明されます。母方インプリント遺伝子として、胚乳発達を抑制するポリコーム複合体の構成因子をコードするMEDEA(MEA)が知られ、その欠損株では胚乳の過成長による種子崩壊が起こります。一方で、胚乳発達を促進すると予想される父方インプリント遺伝子の実態は未解明でした。当研究室では、様々な網羅的解析が行われ、それらの結果から候補の父方インプリント遺伝子が同定されました。私は、父母インプリント遺伝子を操作することで、胚乳発達を通して種子の大型化を試みました。将来的には米や小麦などの可食部を大きくすることで、食糧増産を行うほか、アブラナの種子などを大きくすることで、菜種油などの有用物質の効率的な生産を行うなど、様々な分野への応用が期待されます。

先端大での思い出


先端大では、どっぷり研究活動に熱中しながら研究以外でも楽しい日々を過ごせました。私の入学当初は新型コロナウイルスにより、入校が制限され、すべての授業が映像授業でした。そのため、人との交流もほとんどない中で伊藤研への配属が決まりました。初めは不安でいっぱいでしたが、伊藤研では先生方、技術補佐員の方々が温かく熱心に指導してくださるため、楽しく刺激的な研究生活を送ることができました。そして、先輩方や同期と気軽に交流できる環境も整っているので、プライベートの話や相談事、一緒に遊びに行くなど、多くの楽しい日々を送ることができました。この伊藤研で過ごした2年間は、私にとって大切な思い出です。本当に楽しかったです!

後輩へのメッセージ


大学院で過ごした2年間は、非常に濃いものでした。日々の研究、授業、学会発表、就職活動、修士論文など常にやることが尽きないです。時には悩んで、投げ出したくなるほど苦しくなることもあると思います。私自身もそうでした。そんな時は先生方、技術補佐員の方々、先輩方、同期の皆などを頼って一人で抱え込まないようにしましょう。時には同期とどこかに遊びに行って羽を伸ばすのもおすすめです。人に頼り、色んな意見を聞いて学ぶことで自分自身の成長に繋げ、物事をより良いものにしてほしいと思います。そして、助けてくれた方たちへの感謝を忘れずに、色んなことに挑戦して、思いっきり大学院生活を楽しんでください!

戸 川 聖 香


R3年度修士修了/就職


自分の研究について


蜜腺の発生メカニズムを研究しました。蜜腺は、花が蜜を分泌する器官であり、花の根元に存在しています。蜜を分泌することで、虫を誘引して受粉に利用します。世界の作物収量の35%が、このような受粉方法に依存していると推定されており、蜜腺は食糧生産において重要な器官であると言えます。これまでに、蜜腺を作る因子としてCRCが見出されていましたが、CRCがどのような遺伝子を制御し、蜜腺を発生させていくのかは明らかになっていませんでした。そこで私は、CRCの下流として同定されたMYB遺伝子やBOP遺伝子に着目し、その役割や関係性を調べました。

先端大での思い出


充実した研究環境に驚きました。設備は全国トップクラスで、私は研究の内容上かなり多くの機器を使わせてもらったので、楽しかったです。伊藤研の先生や先輩方のサポートも手厚く、人の温かさにも支えられ、研究する環境としては最高だったと思います。また、私の代は、修論が終わっても毎日大学に来るような「伊藤研大好きマン」が多かったので、同期たちと過ごした毎日も大切な思い出です。旅行や花火、マシマシのラーメンなど、2年間めちゃくちゃ楽しかったです!

後輩へのメッセージ


良くも悪くも、記憶に残るような経験をしてほしいと思います。学会や就活、修論などイベントが山積みの2年間で、疲れたり落ち込んだりすることもあると思います。しかし、友達と3時のおやつを食べたり、昼寝をしたり、ときには研究室を休んで現実逃避するのも、今なら許されます。仲間たちと深夜まで課題に立ち向かい、弱音を吐き、歌い、叫び、また集中するという阿鼻叫喚を体験できるのもこれで最後です。そんな今しかできないことをたくさん経験して、卒業後振り返ったとき、クスッと笑えるような思い出を作ってください!

大 塚 菜 那


R3年度修士修了/進学


自分の研究について


私は、花を咲かせる時期を制御する低分子化合物の同定と、その作用機序の解明をテーマに研究を行いました。植物は花を咲かせるまでは葉を作り続け、個体として大きくなれます。しかし、花を咲かせると葉の成長は停止してしまい植物はそれ以上大きくなれません。そのため、食料を安定生産する上で、花を咲かせる時期を人為的に制御することは重要な課題です。開花時期の人為的制御が可能となれば食料増産や農業の簡便化が期待されます。

先端大での思い出


研究、プライベートのどちらも充実した2年間を過ごすことができました。私は入学時から博士後期課程に進学すると決めていたわけではありません。やりがいのある研究と出会い、伊藤研の居心地の良い環境で研究を続けたいと思ったことが進学の決め手になりました。分からないことを親切丁寧に教えてくださった先生方、技官さん方、先輩方には心から感謝しています。そして同期のみんなと過ごした2年間が本当に楽しかったです。休日に遊んだり、実験終わりにラーメンや、ラーメンや、たまにカレーを食べに行く時間があったからこそ研究に一生懸命になれたと思います。4月から、実験室にも院生室にもみんながいなくなるなんて寂しすぎて考えたくないです。仕事が辛くなったら(辛くなくても)いつでも伊藤研に遊びにきて下さい。

後輩へのメッセージ


修士の2年間は本当にあっという間でした。研究や就職活動など悩み苦しむこともあるかと思います。そんな時は伊藤研のメンバーを頼ってみて下さい。みなさん親身に相談に乗ってくださります。また伊藤研は同期の人数が多いことも魅力だと思います。デスクワークに気分が乗らない日もありましたが、お昼に同期と喋ることで気持ちを切り替えていました。そんな切磋琢磨できる伊藤研を選んで良かったと思う2年間でした。研究だけでなく、たくさん遊び、最後の学生生活を悔いのないように過ごしてください!