高橋 真
R6年度修士修了/就職

自分の研究について
私は、花の蜜を分泌する蜜腺器官についての研究を行いました。蜜腺は100μmほどの大きさで、目視ではほとんど見えない器官なのですが、顕微鏡で蛍光観察し、どのようなタンパク質が機能しているかが明らかになっていく嬉しさは、苦労した分大きかったです。その他にも、Slide-seqやChIP-seqなど、様々な手法を用いて、蜜腺で発現している遺伝子や、そのタンパク質の機能を調べました。
先端大での思い出
先端大や伊藤研の研究設備は整っていて、大学の時にはできなかった実験をいくつも経験することができました。また、伊藤研では、大きな学会に参加する機会をいただきました。このような、過去の自分ではハードルが高いと感じていたことを、先端大、伊藤研で経験することができて、充実、成長の大学院生活だったなと思います。
後輩へのメッセージ
伊藤研は、先生方や技官さんがとっても優しいです!大学院の研究は、実験計画を自分で決めて、進めていかなければいけないというイメージがありましたが、そんなことはなく、メンターの先生が毎日相談に乗ってくださいました。そのおかげで、研究の心配を一人で抱え込むことなく、充実した研究生活を送ることができました。研究をしっかり頑張りたい人にも、プライベートとバランスよく頑張りたい人にも、伊藤研はおすすめです!
田中 菜月
R6年度修士修了/就職

自分の研究について
植物は高温に対して耐性を持ち、生命活動の維持に様々な影響を与えます。植物の高温応答において重要な役割を果たすのが、HEAT SHOCK TRANSCRIPTION FACTOR (HSF)転写因子です。シロイヌナズナでは、高温に応答してHSFA2遺伝子が発現し、獲得高温耐性の制御に関わります。しかし、HSFA2が高温ストレスによって誘導される際にどのようにして転写されるのか、また、下流の遺伝子がどのように制御されているかは不明です。そこで、私は、HSFA2遺伝子の転写を活性化するメカニズムを解明し、化合物でその転写量を増やすことを目的として、低分子化合物を用いたスクリーニングや下流遺伝子の網羅的な解析を行いました。
先端大での思い出
印象に残っていることは、先生方や技官さん、同期や先輩、後輩たちに囲まれて過ごした2年間の研究室生活です。大学院から植物に触れ、分からないことも多くありましたが、親切に手厚くサポートしてくださったおかげで楽しく研究を進めることができました。また、研究だけでなく、ご飯を一緒に食べたり実験の合間に話したり、時にはリフレでゲームをしたりと、何気なく過ごしている研究室での時間でリフレッシュしつつ充実した日々を送れたのかなと思います。
後輩へのメッセージ
NAISTで過ごした日々は非常に濃かったように思います。授業や実験、学会や修論発表、就活などやることが多く忙しい日々になるかと思います。少ししんどい時期もありましたが、伊藤研の先生方に限らず、周囲の先輩方や技官さん、同期や後輩たちが支えてくれました。伊藤研は人数も多く、たくさんの方が力になってくれます。皆さんが充実した素敵な学生生活を送れることを願っています。
中西 辰慶
R6年度修士修了/進学

自分の研究について
孔辺細胞とミロシン細胞の分化を制御する転写因子FAMAの機能解明に取り組みました。孔辺細胞はほぼすべての陸上植物に存在し蒸散や光合成に寄与します。ミロシン細胞はアブラナ目植物に特異的な生体防御に働く細胞でワサビの辛み成分にも関係のある細胞です。この2つの細胞が、それぞれ表皮、内部組織の維管束沿いといった異なる空間に存在することに注目し、FAMAが異なる空間で異なる2つの細胞を作り分けるメカニズムの解明を目指しました。そこで、FAMAが下流で制御する遺伝子の発現パターンの解析や、FAMA機能に影響を与える可能性のある因子の形質転換体を作出し表現型の解析を行いました。
先端大での思い出
分野外から入学しバイオの研究は初めてのことばかりでしたが、過ぎてみれば2年間はあっという間でした。伊藤研では先生方や技術補佐員さん、頼りになる先輩方が丁寧に指導、サポートしてくださったおかげで日々研究に取り組むことができました。学会で同期と神戸へ行ったことは良い思い出で、発表の準備は大変でしたが自分や同期の研究に対する理解が深まりました。最後の修士論文の執筆は苦労もしましたが、この経験は自分にとって貴重な財産になりました。
後輩へのメッセージ
修士の2年間は想像していた以上にあっという間です。後悔が残らないように頑張ってください。そして行き詰まりを感じたら、やりたいこと、不安なこと、研究のことでもプライベートのことでも、伊藤研の先生方や技術補佐員さん、先輩や同期に何でも相談してみてください。こんなこと研究室で相談することなのかな?とか迷わず相談してみてください。きっと向き合ってくれます。充実した大学院生活が送れるよう応援しています。
藤原 有矢
R6年度修士修了/就職

自分の研究について
HSFA2スプライスバリアントによる高温応答の制御機構について研究していました。真核生物におけるmRNAスプライシングは、遺伝的・機能的多様性を生み出すために必須です。このスプライシングが、植物の環境応答において重要な役割を果たします。特に、高温ストレス応答では、HEAT SHOCK FACTOR A2 (HSFA2)のスプライスバリアント、HSFA2aとHSFA2bができます。通常のHSFA2aは解析が進んでいますが、ミニイントロンを含むHSFA2bの生成機構やHSFA2bの機能については未解明な点が多いです。 そこで私は、様々な遺伝子のスプライシングを制御するLIGHT-SENSITIVE ROOT-HAIR DEVELOPMENT 1 (LRH1)遺伝子に注目しました。このLRH1がHSFA2のスプライスバリアント作成に必要なのではないかと予想しました。HSFA2 mRNAのバリアントが作られる分子機構を明らかにするために、網羅的にバリアントを同定可能なロングリードシーケンス・Iso-seqを行い、野生型とlrh1変異体における比較を行いました。さらに、lrh1変異体を用いた分子遺伝学的解析を行うことで、HSFA2aとHSFA2bが作られていく仕組みを探りました。また、HSFA2aとHSFA2bの機能を明らかにするため、生理学的な手法を通して、HSFA2bがどのような機能を持つかを解明する研究を行いました。
先端大での思い出
入学当初、私は全く新しい環境に身を置くことや、学部とは異なる分野に進むことに対する不安がありました。しかし、伊藤研の先生方や技官さん、そして先輩方の温かいサポートのおかげで、研究やラボでの生活は非常に充実したものとなりました。
研究室の雰囲気はとても明るく、先生方や先輩・同期・後輩との交流が盛んで、伊藤研は人数が多いので、様々な人と関わりあえる機会があり、そうした方々と過ごした日々が最も印象深い思い出です。研究の相談はもちろん、日常の何気ない会話や議論を通じて多くの刺激を受け、こうした日々を送っていたことが、私のモチベーションを高めていたのではないかと今では思います。振り返ると、この2年間は本当に充実したものであり、とても居心地の良い環境でした。伊藤研の皆さんには心から感謝しています。お世話になりました。
後輩へのメッセージ
私は、多くの方々に支えられながら、この修士課程の2年間を過ごしてきました。学会発表や中間発表、修論発表といった大きな節目を迎えるたびに、自分一人の力では決して乗り越えられなかったことを実感し、先生方や技官さん、先輩、同期、後輩の支えがいかに大きかったかを痛感しました。特に研究の進め方や発表資料の作成、発表に向けた指導は非常に手厚く、時には厳しい指摘を受けることもありましたが、その一つ一つが自分の成長に繋がっていると感じていました。
これほどまでに丁寧に指導していただける環境は、この先なかなか得られないのではないかと思います。研究に没頭し、試行錯誤を繰り返しながらも、周囲の助けを得て成長できる環境はとても貴重だと思います。時には研究が思うように進まず、焦ることや悩むこともあるかもしれませんが、その過程も含めてかけがえのない経験となるはずです。
ぜひ、この恵まれた環境を最大限に活かし、悔いのないように日々の研究や生活を楽しんでください。
堀 孔明
R6年度修士修了/就職

自分の研究について
被子植物の胚乳発達の仕組みについて研究していました。被子植物の胚乳発達は父母ゲノムの拮抗的な作用によって引き起こされます。胚乳発達に対して父方ゲノムは促進的に、母方ゲノムは抑制的に働きます。この働きは父母の対立遺伝子の片方のみが発現することによるものでゲノムインプリティングによって制御されていますが、詳しい機構については分かっていません。私は父母ゲノム同士の関係性を調べるために、それぞれの遺伝子の機能欠損させた植物の表現形や遺伝子の発現変動から胚乳発達の機構について調べました。
先端大での思い出
研究だけでなくプライベートも充実できたことです。奈良先端大は研究一筋という印象を持っていましたが、ラボイベントのBBQや同期で集まって飲み会をしたり、銭湯に行ってリフレッシュしたり、友人との関係を深めることができました。楽しい2年間でした。
後輩へのメッセージ
大学院の2年間は思っているよりもずっと短いです。気づけば学会、就活が終わっており、修士論文の執筆が始まります。どれも大変なことですが、悔いのないよう精いっぱい頑張れば、きっと良い結果がついてきます。仲間たちと切磋琢磨し、充実した研究生活が送れることを願っています。
堀内 恵大
R6年度修士修了/就職

自分の研究について
ミロシン細胞の分化メカニズムの一端を解明しました。ミロシン細胞はアブラナ目植物の生体防御機構において重要な役割を果たす細胞の一つです。これまでに、ミロシン細胞の分化は FAMA-WSB モジュールによって正に制御されていることが報告されていましたが、その下流の詳細は明らかになっていませんでした。
そこで、私はこのメカニズムを解明するため、共焦点レーザー顕微鏡を用いた蛍光観察、葉や根の断面観察のための切片作成、遺伝子発現量を解析する qPCR 解析など、さまざまな実験を組み合わせて研究を行いました。
先端大での思い出
私のNAISTでの思い出は日々の研究生活です。私にとって、伊藤研での毎日は本当に充実していました。研究では思うような結果が出ず、試行錯誤を繰り返すこともありましたが、先生方から的確なアドバイスをいただき、少しずつ前に進むことができました。修論発表に向けては、何度も資料を作り直し、プレゼンの練習を重ねる中で、自分の成長を実感することができました。どんな場面でも、先生方や先輩、同期、後輩のみなさんの支えがあったからこそ、乗り越えられたと感じています。伊藤研の一員として、この大学院を修了できることを心から嬉しく思います。
後輩へのメッセージ
とにかく何事も楽しもう!
前田 龍舞
R6年度修士修了/進学

自分の研究について
異なる系統の親株を交配して得られたF₁雑種が、親株を上回る生育能力を示す現象は「雑種強勢(ヘテローシス)」と呼ばれ、農業分野においては作物の収量や品質向上を目的に広く活用されています。アブラナ科作物では、雑種強勢を利用したF1品種の育成が一般的です。モデル植物であるシロイヌナズナにおいても、種内系統間における雑種強勢が報告されていますが、その分子メカニズムは依然として十分に解明されていません。
本研究室では、シロイヌナズナの芽生えサイズにおける雑種強勢に関与する可能性のある候補遺伝子を新たに同定しました。そこで私は、その中でも雑種強勢との関連が示唆されるGENE X遺伝子に着目し、機能解析を通じて雑種強勢の発現機構の解明に取り組みました。
先端大での思い出
さまざまなバックグラウンドを持つ人たちと出会い、異なる視点から意見を交わすことができたのは、とても刺激的で楽しい経験でした。周囲には行動力のある人が多く、その姿勢に感化される場面も多々ありました。
研究室では、「挑戦すること」を何よりも大切にしており、新しいことに積極的に取り組む姿勢を全力でサポートしてくれました。初めての口頭発表では、緊張のあまり思うように話せず、一般的には「失敗」と捉えられる結果でしたが、先生はそれを「成功体験」と言ってくださいました。その言葉が大きな励みとなり、自信へとつながりました。最終的には、修士論文発表会で悔いのない発表をすることができました。
失敗を責めるのではなく、挑戦したこと自体を評価し、「成功」として受け止めてくれるこの研究室の雰囲気が、私はとても大好きです。
後輩へのメッセージ
成功するために最も大切なのは、どれだけ多くの失敗を経験できるかだと私は思います。一般的には失敗はマイナスなものと捉えられがちですが、むしろ成功に近づくための大切なステップであり、失敗の数だけ学びがあると感じています。
当研究室は、チャレンジ精神にあふれた、とても前向きな雰囲気を持っています。これからもぜひ、恐れずにどんどん挑戦し、たとえ失敗を繰り返したとしても、その過程を通じて大きく成長し、やがて成功をつかんでほしいと願っています。