石見 拓也
R5年度修士修了/就職
自分の研究について
モデル植物シロイヌナズナの異形細胞分化を制御する転写因子の機能に関する研究に取り組みました。異形細胞とは周囲の組織とは異なる形状、機能を持つ細胞です。私の研究では孔辺細胞およびミロシン細胞に着目しました。孔辺細胞は多くの陸上植物に保存される呼吸や蒸散にはたらく事が広く知られる細胞です。ミロシン細胞はアブラナ目植物に特有の生体防御に働く異形細胞であり、ワサビの辛味成分としても知られるイソチオシアネートの産生に働くことで防虫作用に働きます。近年、これらの2つの異形細胞は機能や由来が異なるにも関わらず共にbHLH型転写因子FAMAによって分化が制御されることが明らかになりました。私の研究ではRNA、タンパク質レベルの定量やイメージング解析等を介してFAMA下流因子の機能解明を目指しました。
先端大での思い出
入学当時、印象的だったのが学術的バックグラウンドが大きく違う学生達でした。当初は「学部でバイオに関わりがない人は苦労するのではないか」などと考えていましたが、皆の素晴らしい修士論文発表を見て間違いであったと知りました。学部の研究を問わず、全ての研究室が広く門戸を開いている点がNAISTの誇るべき特徴ではないかと思います。
後輩へのメッセージ
私のNAIST生活は素晴らしい研究室の先生、技官さんや先輩後輩、そして多くの友人に支えられました。まだまだ未熟ですが背景が大きく異なる人達との協働は自分を良い方に変えてくれたのではないかと思います。全員が新たな環境に飛び込んだ仲間なのだと思えば、少しでも何かチャレンジする勇気が湧いてくるのではないでしょうか。NAISTがそのような挑戦を歓迎してくれる場であり続けてくれる事を願います。
宇津木 一陽
R5年度修士修了/就職
自分の研究について
私は、系統の異なる親同士を交配して得られる雑種が両親よりも旺盛な生育を示す「雑種強勢」について研究を行いました。この現象はアブラナ科植物のカブやハクサイなどの作物おいては、F1 雑種が広く用いられています。アブラナ科のモデル植物であるシロイヌナズナにおいても、種内系統における雑種強勢が明らかになっていますが、その根底のメカニズムは明らかになっていません。当研究室では、シロイヌナズナの発達初期における雑種強勢に関与すると予想される遺伝子が同定されました。そこで私は、その候補遺伝子の機能解析を行いました。
先端大での思い出
学部の頃、院が決まった後から研究に向いてないかもと痛感するようになり、先端大に入って合わなかったら辞めようかなと思っていました。私はそんな気持ちで新しく研究を始めましたが、知らぬ間にのめり込んでいました。これは、紛れもなく伊藤研の恵まれた環境のおかげだと思います。伊藤研は、研究設備はもちろんのこと、メンバーの研究に対する意欲が高かったため、必然的に自分も頑張ろうという気持ちになれました。また、わからないことも親身に教えてくださった先生方や技官さん方、先輩方には本当に感謝しかありません。非常に充実した2年間でした。
後輩へのメッセージ
今になって過去に卒業された伊藤研の先輩方のメッセージを見てみると、どれも共感できることばかりです (先端大や伊藤研についてよくわかると思います、興味ある方はぜひ読んでみてください) 。今後、皆さんが、充実した大学院生活を送れるよう応援しています!
押井 夏海
R5年度修士修了/就職
自分の研究について
アブラナ科植物である在来ナタネは自家不和合性をもつ植物であるため、油脂生産のために大量に種子を生産するには不向きです。そこで私は、不和合→和合化できるように操作した改変型低分子RNAを導入した在来ナタネを用いて、実際に自家和合で種子が自然にできる在来ナタネが作出できるかについて研究を進めました。その結果、改変型低分子RNAを導入した株では、自家受粉し、自然に結実することが確認できました。この結果は、本来、自家不和合性の在来ナタネでも改変型低分子RNAを導入することで、簡単に大量に種子を生産できることを示しています。この研究は先輩方のご尽力もあり、特許出願を果たすことができました!この成果は油脂だけでなく、身近なアブラナ科野菜の収量増加も見込め、更なる品種改良技術の応用に役立てられることが期待できます。
先端大での思い出
研究室での毎日が一番の思い出です。元々学部で植物を研究していましたが、伊藤研配属後、研究対象がシロイヌナズナからアブラナになったこともあり、最初は戸惑うことも多くありました。でも、先生方や技官さん、先輩方が親切に指導し、研究テーマに取り組めるように手厚くサポートしてくださいました。また、研究に行き詰っても、同期と毎日お昼ご飯を食べることでリフレッシュすることができました!本当に居心地がよくて、充実した2年間を過ごすことができました。伊藤研を選んで本当に良かったです!
後輩へのメッセージ
修士の2年間は想像以上にあっという間でした。授業や研究室選択、就職活動、修士論文の執筆や発表、色々忙しくしているうちに卒業の日を迎えている気がします。あっという間だけど、本当に充実した2年間だったのは、伊藤研の先生方や技官さん、先輩方や同期、後輩たちが支えてくださったおかげです。悔いの残らないように全力を尽くしつつ、研究室でお菓子を食べておしゃべりしながら息抜きをしつつ、楽しい大学院生活を送ってください!
澤 ひかる
R5年度修士修了/就職
自分の研究について
私は、開花時期の制御における低分子化合物と高温処理による作用機序について研究をしていました。多くの植物は、冬の低温状況下から春の暖かさを経験することで花を咲かせます。花を咲かせると葉の成長は停止してしまい植物はそれ以上大きくなれません。農業現場において、葉や根を食用とする大根や白菜の開花時期を遅らせることは収穫量の増産に繋がります。そのため、植物の開花時期を人為的にコントロールすることは食料増産や農業の簡便化が期待されます。
先端大での思い出
研究室に配属した当初は不安と緊張でいっぱいでした。しかし、先生方や先輩、技術補佐員の方々が親切丁寧にサポートしてくださったおかげで、研究を楽しく進めることができました。さらに、就活中のしんどい時には、いつでも同期の仲間や先輩に相談できる環境があり、本当に助けられました。毎日、研究室に行くのが楽しみになるくらい充実した日々でした。
後輩へのメッセージ
研究室に入ってから実験や授業、学会発表、修論発表など忙しい日々になると思いますが周囲の先輩や先生、同期の仲間が支えてくれるはずです。伊藤研は人数が多いからこそ相談するといろんな意見をもらうことができます。私は、同期と朝から晩までずっと一緒に過ごし、研究のことからプライベートのことまで家族以上に何でも相談できる同期の存在がとても大きかったです。2年間はあっという間に過ぎてしまうので悔いのない学生生活が送れるよう願っています。
長森 愛純
R5年度修士修了/就職
自分の研究について
植物が蜜を分泌する器官である蜜腺について研究しています。蜜を用いた受粉方法は世界作物の約35%で用いられており、蜜腺は植物の送受粉に重要な器官であると言えます。しかし、その形成・発達メカニズムには不明な点が多いです。そこで私は、同定されている蜜腺形成のマスター制御遺伝子の下流にある転写因子に着目しました。タンパク質解析や下流遺伝子の網羅的解析を通して蜜腺の発達機構を調べました。
先端大での思い出
2年間は一瞬で過ぎてしまいましたが、濃い思い出がたくさん残っています。優しい先生方や技官さん、先輩たちに囲まれ、入学当初想像していたよりも前向きに研究に没頭することができました。修士論文を書き上げることができたのは、自分の中で大きな自信になっています。忙しい毎日を駆け抜けることができたのは、同期とご飯を食べたり、実験の合間にお喋りをしたり、何気ない毎日が幸せだったからかなあと思っています。
後輩へのメッセージ
修士の学生生活は、実験に就職活動などに忙しくあっという間に終わってしまいました。やることが多く、もう嫌だーとなってしまうこともあると思います。ですが、そこで一歩踏ん張ることで大きく成長することができます。大学院生活は、いいことばかりではなかったけれど楽しくて、奈良先端大に来て、伊藤研に入って本当に良かったと思っています。大学院生活を悔いのないように、程よく無理なく頑張ってくださいね。
本郷 達也
R5年度修士修了/就職
自分の研究について
高温ストレス応答の転写制御機構において、中心的な役割を担うのがHEAT SHOCK FACTOR (HSF) と呼ばれる転写因子です。シロイヌナズナにおける多数のHSFは高温ストレス応答の転写制御に対して異なる役割を担っていますが、その原因は分かってはいません。私は、gHSF-GFPを用いた蛍光観察とChIP-seqを行い、これらの共通点と相違点から高温ストレス応答に対してどうして異なる役割を担うのかを探りました。
先端大での思い出
奈良先端大は研究に打ち込みやすい環境であったと思います。十分な研究設備が揃っており、必要な実験や取り組みたい実験はすべてスムーズに行うことができました。また、指導して頂いた先生をはじめ、研究室の方々のたくさんの助けがあったお陰で、充実した大学院生活を送ることができました。
後輩へのメッセージ
植物に囲まれて過ごす時間は、人生の中で非常に限られたものだと思います。植物と研究室の方々と仲良く、実験を楽しみながら、充実した学生生活を送ってください。皆様の成功を心から祈っています。
宮嶋 渚
R5年度修士修了/就職
自分の研究について
植物の高温応答について研究していました。植物は高温に対して耐性を持つことが知られています。モデル植物のシロイヌナズナにおいて、高温ストレスに応答した遺伝子発現を制御する上で中心的な役割を果たすのが、HEAT SHOCK TRANSCRIPTIONFACTOR (HSF)と呼ばれる転写因子ファミリーです。高温ストレスによる植物の損傷を防ぐために、HSFは下流の遺伝子の転写を誘導し、高温ストレス耐性を付与します。このファミリーの多くの因子がスプライシングによる制御で多様な転写因子が作られていました。私はそのなかでも、高温応答で重要な役割を果たすHSFA2に注目しました。HSFA2はDNA結合ドメインをもつHSFA2aと、それを持たないHSFA2bの2つのバリエーションがあることがわかっています。そのため、このHSFA2aとHSFA2bの機能をバリアントごとに詳細に調べました。HSFA2aとHSFA2bの構造、多量体、標的の違い、および過剰発現体の表現型の解析を行いました。
先端大での思い出
思い出は、優しい先生や頼りになる先輩・技官さんや同期、後輩に助けられながら実験したことです。私が最後に使用した機器がなぜか突然上手く作動しなくなってしまっても、染色液を盛大にこぼしてしまっても、先生方はすぐ気付いてサポートしてくださいました。そして、再度実験すれば良いと優しく声をかけてくださいました。同期の皆はその失敗を笑い飛ばして慰めてくれるだけでなく、私が思い付かないような改善策を一緒に考えてくれました。周りの皆様に助けていただいてばかりの2年間でした。本当にお世話になりました。ありがとうございました。
後輩へのメッセージ
絶対上手くいきます!応援しています!!