NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

笹井 美和 さん

  • Yale University / 独立行政法人 日本学術振興会 海外特別研究員
    (→大阪大学微生物病研究所 准教授)
  • 2006年度(博士) 細胞増殖学

一つの生命現象に対して多方面から見る「柔軟性」の大切さを
学んだと思います。

笹井 美和さんの近況写真

卒業と同時に渡米し、Yale大学のポスドクとして働き始めてもうすぐ丸三年になろうとしています。私は、修士課程二年間と博士課程の最初の半年間を客員講座の大阪府立成人病センターで、残りの博士課程の期間を学外実習生として北海道大学で過ごしました。奈良先端大内で過ごした日々は入学後に行われた半年間の集中講義のみでしたが、短期間ながらも同期のメンバーと同じ講義を受け、共に同じ問題に取り組む事により、かけがえの無い友情が生まれたように思います。奈良先端大は生物学の基礎知識のある学生だけでなく、全く異なる分野からの学生を多く受け入れており、異なる分野からの友人の疑問や指摘は、生物学を学んで来た私とは全く異なる視点からの見方であり、一つの生命現象に対して多方面から見る「柔軟性」の大切さを学んだと思います。

学生時代の研究は、ウイルス感染に対する免疫機構について、分子機構を中心に解析を行いました。大学院入学時点では、分子生物学の知識はあっても、実験は殆ど皆無でPCRすらした事がありませんでした。ですが、研究室配属後に基本的な手技からきちんと教えて頂き、「経験値」というかけがえの無いものをこの期間に得る事が出来ました。この研究を通じて『感染防御』という現象に大きな興味を抱き、留学先でもマウス個体レベルでのメカニズムを視野に入れたウイルス感染防御について研究を行っております。言葉や文化の違う人々が集まっている所ですので、最初は戸惑う事も多々ありましたが、奈良先端大時代に得た「柔軟性」と「経験値」を元に、日々研究に励んでいます。

研究は、良い時もあれば上手く行かない時も当然あります。『研究者として自分の納得のいく成長を遂げる事ができなければ、研究者として日本に帰らない位の気持ちで頑張るぞ!』と意気込み留学しましたが、思うようにできない日々が続くにつれ、初心を完全に忘れて不安や焦りだけが先走り、言い訳や弱音ばかりが頭に浮かんでしまう時もありました。そのような時は研究仲間に連絡して忌憚なき論議を重ね、学生時代に行っていた『違う視点』の重要さを再認識するのと同時に、初心に戻ることができ、また頑張る事ができました。奈良先端大で出会った友人や先生方とは、卒業した今でも親交があり、私を叱咤激励してくれる大きな見方です。

私にとって奈良先端大は、今の私の基礎を育んでくれた場であると同時に、切磋琢磨し合う事のできる仲間や先生方を得た大切な場所です。これからの奈良先端大の学生にとっても、個々の人生の良き学び舎となり続けてくれると確信しています。

写真説明:左)ロックフェラーセンターと同センターのクリスマスツリー 右)研究室メンバーとの食事にて

【2010年01月掲載】

卒業生の声記事一覧へ


Share:
  • X(twitter)
  • facebook