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奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

Alumni Testimonials 卒業生の声

川合 良和 さん

2002年度(博士) 細胞遺伝学

Institute for Cell and Molecular Biosciences, University of Newcastle upon Tyne (UK)

川合 良和さんの近況写真

私がバイオサイエンスの世界に進んだきっかけは、大学3年生の時に受けた何かの授業でした。気が付くと先生の話を聞かずに、「DNAの複製」「RNAへの転写」「タンパク質への翻訳」について書かれていた教科書をじーっと眺めていました。大学は工学部で、高校でも生物を専攻しなかったため、それまで生物に関する知識も興味も全くなかったのですが、「細胞の中ではこんなことが起こっているのか」と驚き、わくわくしたのを覚えています。単純な私は、「もっとよく知りたい」と思うようになり、生物系の大学院に進学することを決め、初心者の私でも「もしかしたら合格するかもしれない」と、筆記試験のなかった奈良先端大を受験しました。

奈良先端大では修士・博士課程そしてポスドクと、気が付けば8年過ごしていました。これだけ長い間夢中になれたことは、私の人生でサッカーに次いで2番目です。もともと具体的な目的があったわけではなく、好奇心だけでスタートしたのですが、尊敬できる指導者、頼りになる先輩、そして良き友人に出会えたことで、いつのまにか私も研究者になることを意識するようになっていました。そして、奈良先端大でのポスドク1年目が終わろうとしていたころには「次は海外で自分を試してみたい」と思うまでになりました。世界的に有名なラボの実状にも興味を持っていた私は、細菌の細胞周期に関する研究分野で第一人者のJeff Errington教授に手紙を送ったところ、奈良先端大での業績が認められ、ポスドクとして採用されました。イギリスでの研究生活がスタートして1年が過ぎようとしています。奈良先端大ほどの研究設備ではありませんが、この研究室には多種多様なバックグランドと大きな野心を持った若い研究者が世界中から次々と集まってきます。そして、彼らのエネルギーによって活気のある生産性の高い研究室が作られています。また、彼らは楽しみながら研究するのに長けていて、私はよく「大丈夫か?」とみんなに声をかけられます。そんなつもりはないのですが、きっと彼らには肩に力が入りすぎているように見えるのでしょう。

奈良先端大からスタートした私の研究人生も来年には10周年を迎えます。今も昔も全く先が見えない道を歩き続けていますが、それはそれで楽しいものです。

(2008年07月掲載)

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