NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

永松 愛子 さん

  • 宇宙航空研究開発機構 (JAXA)
  • 1998年度(修士) 植物細胞工学
永松 愛子さんの近況写真

私は現在、宇宙航空研究開発機構 ( JAXA ) にて、国際宇宙ステーションやスペースシャトルに搭乗する日本人宇宙飛行士や生物試料の、フライト期間中の宇宙放射線被ばく線量を計測する研究開発を担当しています。国際宇宙ステーション建設に参加するNASA・ESA ( 欧州宇宙研究機構 ) ・ロシアをはじめとするパートナー国や宇宙機関と協力を図りながら、搭載機器検証のためのフライト実験、精度検討のための地上加速器照射実験を順調に進めています。今年は、国際宇宙ステーションの日本の実験モジュール「きぼう」の打ち上げ、3人の日本人宇宙飛行士の搭乗予定が決まっています。JAXAは非常に活気のある職場です。写真にある航空機を使った微小重力環境での検証実験など、宇宙開発ならでは業務も数多くあり、忙しいですが非常にやりがいのある仕事だと感じています。プライベートでは、高エネルギー加速器研究機構の大学院にて、社会人をしながら「宇宙放射線物理」の博士課程にも在学中です。それから、3歳と2歳の男の子のママでもあります。

本学の修士課程では、オオムギの突然変異株セルペンティーナの重力応答異常の研究を行っていました。この研究は、ライフサイエンス宇宙実験において、生物がどうやって微小重力下に適応するのか、また地球上では重力をどうやって感受をするのか、その原因を探るための研究です。幼い頃から興味を持っていた「宇宙開発」への、最初の扉となりました。奈良先端大では、充実した施設環境の中、最先端の分子生物学の知見や実験手法を学ぶことができました。また、海外からの著名な研究者の講演を直接聞き、一緒にディスカッションできる機会にも恵まれた、本当に国際色豊かな学びの場でもありました。各国の宇宙機関との共同研究や国際調整を進めていく上での基礎力を、奈良先端大で身につけることができたと感謝しています。奈良先端大では「分子生物学」を、就職してからは「宇宙放射線物理」と全く分野が変わりましたが、奈良先端大で身につけた研究手法、研究の進め方・考え方は分野を超えても大いに役立っています。社会人になってから、奈良先端大の研究室スタッフや先輩方から頂いたサジェッションを生かせる場面が何度もあり、奈良先端大の充実した教育体制やスタッフの方々の質の高い指導力を、卒業してあらためて感じています。奈良先端大では分野を超えた応用力、自ら研究やプロジェクトを進める力を身につけることができます。これから奈良先端大を受験・入学される方々には、自分の可能性を広げて、夢を叶える力を奈良先端大で磨いて欲しいと思います。

写真の説明::航空機がパラボリックフライト ( 放物線飛行 ) を行うことにより、機内に20秒間の微小重力環境 ( 3×10-2G以下 ) を作ります。この模擬微小重力環境下 ( mG :: マイクロG ) で、国際宇宙ステーションで実施する宇宙実験の事前検証を行います。微小重力環境になった三菱式MU-300飛行機内で、フワフワ浮いている時の写真です。

【2008年04月掲載】

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