研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

田中 聡 さん

就職先
日本ベクトン・ディッキンソン株式会社 バイオサイエンス事業部
修了年度
1996年度(修士) 細胞機能学
田中 聡さんの近況写真

大学時代の教授より、いくつかの分野を経験し研究における視点を広げるべきとの教えもあり、私は大学院大学である奈良先端大に入学しました。奈良先端大には、動物から植物、微生物までの最先端の研究分野と高度な科学技術設備が整い、また、学生も学部からの継続ではないため、それぞれ異なるバックグラウンドを持つ人間が集まり、幅広い視点を養うためには最良の環境であったと思います。

奈良先端大では、谷 吉樹教授、桂樹 徹助教授のもと、酵母をモデルとした有用物質生産の研究に取り組みました。私としては新しい科学技術の方にも興味があり、1台数千万円はするフローサイトメーターなどの最新機器を応用したテーマの組み立てを行いました。研究室においては、単にテーマを与えられるのではなく、自分自身で実験系を考え出す時間も十分に作っていただいたので、試行錯誤は繰り返しましたが、そこで培った考える力は、今の自分にとっても貴重な素地となっています。

そして、現在勤務しているベクトン・ディッキンソン(BD)は、奈良先端大で経験したフローサイトメトリーの最新技術を持つ会社であり、私はそのアプリケーションスペシャリストとして働いています。学生時代の漠然とした興味が、今ではフローサイトメーター開発のエンジニアとも意見を交換しながら、最新の技術開発の一端を担うことにつながるとは思ってもみませんでした。現在の主要な活動領域は幹細胞(stem cell)関連となり、東京と神戸のラボ(先端医療センター内)を行き来しながら、我々の持つ最新技術がいかに研究へ応用できるかをテーマに日々働いています。

ちなみに、フローサイトメーター(さらに細胞を分離する機能を持つ装置はセルソーターと呼びます)は、レーザーの照射されている流路に細胞を1つ1つ流し、毎秒数千個から数万個の速度で解析およびソーティング(目的細胞だけを取り出すこと)することが可能な装置です。現在は一度に10種類以上の蛍光標識で細胞を分類することや、その中に存在する0.001%程度の標的細胞だけを取り出すような実験も行われています。フローサイトメトリーの原理に興味のある方は、 Introduction to Flow Cytometry を参照してみてください。何かの役に立つかもしれません。

最後に、今の自分がこの先端技術開発の現場にいることは、大学の研究室を飛び出し、奈良先端大において最新のサイエンス、そしてテクノロジーに触れることができたことが、大きなきっかけとなったのは確かです。

【2006年11月掲載】

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