研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

小埜 栄一郎 さん

  • サントリー株式会社 先進技術応用研究所
  • 1999年度(修士) 植物分子遺伝学
小埜 栄一郎さんの近況写真

私は現在、植物の様々な二次代謝経路に関わる酵素遺伝子のクローニングおよびその機能解析を行っております。特にフラボノイド色素の生合成に関わる酵素遺伝子を利用して花色を遺伝子工学的に改変することが主たる仕事です。フラボノイド以外にもセサミンに代表されるリグナンと呼ばれる二次代謝物の生合成経路の解明に取り組んでおります。私が扱う材料はナズナやイネなどのモデル生物とは異なり、分子生物学的知見が極めて乏しく扱いづらいこともあります。しかし美しく複雑な構造を持つ色素を生産する花や、人にとって有用な化合物を生み出す植物はモデル生物にない特有の代謝経路をそのゲノムに内包しており、このマイナーな差異の積み重ねこそが生物の多様性を形成しているものと考えています。私の仕事は言ってみれば誰も近寄らない秘境に挑むトレジャーハンターのようなものです。これらの研究を通して得られる知見および技術を利用して人間の生活を豊かにすることで社会に貢献したいと日々精進しています。

奈良先端大を卒業してもう丸5年が経ちますが島本研での学生生活は昨日のことのように思い出されます。島本先生をはじめ、奈良先端大での学生生活から学んだ大切なことは「研究を楽しむ」ということです。そして研究を楽しみ成果をあげる為には執念的とも言える「粘り強さ」が必要です。逆にこの粘り強さは研究を楽しめていないと持続しません。先に私は社会に貢献したいというお題目を掲げましたが、これは社会人としても建前であり、実際はそのプロセス自体を楽しんでいます。そして多くの研究に携わっている方がそうであると思います。奈良先端大には質が高く、非常に興味深い研究を進めている研究室がたくさんあります。これが重要です。私も他の研究室の先生や友人の研究を聞いて強く触発され、その刺激がさらに研究の楽しみを増してくれました。また、ご存知のように奈良先端大は生駒の人里離れたところにあります。私が通勤している研究所も大阪と京都の間の山の麓にあり、コンビニに行くのにもバスを利用します。しかしながら利便性の良し悪しは必ずしも良い研究を進めることに関係ありません。むしろ少しくらい不便な方が誘惑が少なくて良いです。ひとたび社会に出ると成果主義の為、純粋に研究を楽しむということが難しくなります。奈良先端大で得られる貴重な時間を研究を楽しむことに費やしてください。そこで培われた経験や知識が人生を楽しくしてくれるはずです。

【2005年07月掲載】

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