NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

加藤 昌人 さん

  • The University of Texas (USA), Southwestern Medical Center, Assistant Professor(→UTSouthwestern medical center, Professor)
  • 1997年度(博士) 生体高分子構造学
加藤 昌人さんの近況写真

私は、1994年に大阪大学薬学部を卒業し、同年開校した奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科に第1期生として入学しました。それまで学んできたタンパク質のX線結晶構造解析を続けるために、箱嶋敏雄教授の構造生物学研究室に所属しました。博士課程では、ヒスチジンキナーゼArcBのヒスチジンリン酸転移ドメインのX線結晶構造を決定し、二成分系細胞内情報伝達システムでの最初のヒスチジンキナーゼの構造解析として、1996年Cell誌に論文を出させて頂くことができました。このドメイン構造をさらに高精細に解析し、その結果をもとに1998年に短期修了で博士号を取得しました。同研究室で1年のポスドク(博士研究員)を経験した後、ハーバード大学医学部Dr. Tom Ellenbergerの研究室に留学し、バクテリオファージT7 DNA複製機構のラギング鎖複合体の結晶構造研究というテーマで、5年間のポスドク生活を送りました。ここでは、Mollecular Cell誌に発表したT7 DNA primaseの結晶構造の論文(2003年)を含め数報の論文を出すことできました。昨年、テキサス州立大学サウスウエスタンメディカルセンターにAssistant Professorの職を得て、現在はピルビン酸加水分解酵素の活性制御キナーゼタンパク質の構造学的研究をしています。

私はこれまで一貫してタンパク質の構造解析に携わってきましたが、箱嶋教授の元で学んだ構造解析の知識・技術はレベルが高く、この分野の速い技術進歩にも遅れずについていくことができたと思っています。また、奈良先端大の設備・機器は非常に充実していて、実験が迅速にできる体制になっていたことは、海外に出てから再認識しました。さらに、バイオサイエンス研究科には英語論文作成の為のクラスが設けられており、私も受講していました。奈良先端大の博士論文は英語でも執筆可能なので、私は英語で提出しました。それらを通して学んだ英語力は今でも論文作成の際に役立っています。このような私の経験からも、日本において奈良先端大が非常に画期的な大学院大学で、海外の研究機関に卒業生を輩出することも見据えた教育・研究体制を取っていることがわかります。実際、多くの卒業生が海外に出て研究に励んでいると聞いています。独立法人化された今、特徴のある大学運営が入学希望の学生からも期待されていると思います。バイオサイエンス研究科には、これからもより一層海外へ人材輸出できる教育・研究体制を発展させていただきたいと願っています。

写真コメント
テキサス州立大学サウスウエスタンメディカルセンターは、4人の現役ノーベル賞受賞者が勤務する、アメリカでもトップクラスの研究所であり、ジョン・F・ケネディー大統領が銃撃された後、息を引き取った病院としても有名です。

【2005年07月掲載】

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