研究成果の紹介
バイオサイエンス研究科遺伝子発現制御研究室の中畑泰和助教が日本時間生物学会の第9回日本時間生物学会学術奨励賞を受賞
バイオサイエンス研究科遺伝子発現制御研究室の中畑泰和助教が日本時間生物学会の第9回日本時間生物学会学術奨励賞を受賞しました。本賞は時間生物学領域で顕著な業績をあげ、今後の活躍が期待される若手研究者(基礎科学部門、臨床・社会部門の年齢制限はそれぞれ、37 歳、41歳以下)を表彰するものです。
受賞コメント
この度は、このような立派な賞を受賞することができたことを大変うれしく、また光栄に感じます。今回の受賞は、これまでお世話になった多くの先生方のご指導、ご協力の賜と深く感謝しています。今回の受賞を励みに、オリジナリティーある研究をNAISTから発信していきたいと思っています。
受賞時の発表内容
「エネルギー代謝による概日時計制御の研究」
今回の受賞は、肥満や生活習慣病と概日時計との関連性を分子レベルで直接証明したことが評価されたものです。近年、肥満や生活習慣病と概日時計との関連性を示唆する報告が急増していますが、概日時計との関連性を分子レベルで証明した報告はありませんでした。私たちは、エネルギー代謝に関与するNAD+代謝と概日時計が“SIRT1”と呼ばれる分子を介して相互連関していること、さらにその分子メカニズムを解明しました。本研究成果は、不規則な生活や食習慣がなぜ肥満や生活習慣病を引き起こすのかを分子レベルで解き明かす端緒として期待されています。
・関連論文
Nakahata Y, Sahar S, Astarita G, Kaluzova M, Sassone-Corsi P.
Circadian control of the NAD+ salvage pathway by CLOK-SIRT1.
Science. 2009 324(5927):654-657
Nakahata Y*, Kaluzova M*, Grimaldi B, Sahar S, Hirayama J, Chen D, Guarente LP, Sassone-Corsi P.
The NAD+-dependent deacetylase SIRT1 modulates CLOCK-mediated chromatin remodeling and circadian control.
Cell. 2008 134(2):329-340. *Equally contributed to this study
(2012年01月18日掲載)