研究成果の紹介
バイオサイエンス研究科分⼦情報薬理学研究室の多胡憲治助教が公益財団法⼈武⽥科学振興財団ライフサイエンス研究奨励の対象者に選ばれました
バイオサイエンス研究科分⼦情報薬理学研究室の多胡憲治助教が公益財団法⼈武⽥科学振興財団のライフサイエンス研究奨励の対象者に選ばれました。本助成は、健康増進に寄与する⽣命科学分野の進歩、発展に貢献すると考えられる研究を対象としています。
助成受託のコメント
この度、公益財団法人武田科学振興財団からのライフサイエンス研究奨励助成をいただくことになり、心から感謝いたします。この助成金をいただけたのは、伊東 広先生をはじめとするたくさんの方からのご指導によるもので、この場をお借りして感謝申し上げます。この助成金を有効に活用し、さらなる研究の発展を目指したいと思います。
助成受託研究テーマ
本研究は低分子量GTP結合タンパク質kappaB-Rasに焦点をあて、kappaB-Rasの発がんシグナルにおける役割を解明することを目指している。
私たちは、固形がんの多くでその変異が見出されるRas (G12V) による発がんシグナルがkappaB-Rasの発現抑制により完全に阻害することを見出した。さらに、kappaB-Rasが誘導するシグナル伝達系を明らかにするため、kappaB-Rasの蛋白質複合体を精製し、数種類のkappaB-Ras結合分子を同定した。これまでに、結合分子のいくつかはRas (G12V) による発がんシグナルに対し、顕著に影響を及ぼすことが分かってきている。本研究の成果によって、発がんシグナルの解明および新しい抗がん剤の開発に貢献できると期待される。
関連論文
Kenji Tago, Megumi Funakoshi-Tago, Masaki Sakinawa, Norikazu Mizuno, and Hiroshi Itoh (2010) kappaB-Ras is a nuclear-cytoplasmic small GTPase that inhibits NF-kappaB activation through the suppression of transcriptional activation of p65/RelA. J Biol Chem. 285(40): 30622-30633.
(2012年01月05日掲載)