研究成果

研究成果

バイオサイエンス研究科植物生殖遺伝学研究チームの木下哲研究チーム長を始めとする研究チームの論文が、2013年度日本植物生理学会PCP論文賞を受賞

バイオサイエンス研究科植物生殖遺伝学研究チームの木下哲研究チーム長を始めとする研究チームの論文が、2013年度日本植物生理学会PCP論文賞を受賞しました。PCP論文賞は、優れた論文の発表を介して植物科学関連分野の振興をはかるために設けられ,選考年の前年の Plant & Cell Physiology 誌に掲載されている論文の中から植物科学の進歩に寄与する独創的で国際的にも優れた論文を発表した著者に授賞されます。

授賞コメント

木下哲研究チーム長
 私達が、「バイオトロンブリーディング法」を発表する以前は、イネでは人工気象器を使って生殖過程の研究を行うこと、あるいは人工交配を行うことは大変困難と考えられていました。ましてや、シロイヌナズナと比較可能なスピードで戻し交配していくことは全く不可能と考えられていました。今回のこのような受賞に至ったバイオトロンブリーディング法は、著者一同のみならず多くの方々の知恵を結集して達成できたものです。様々な研究に少しでも貢献できればと思います。


山川博幹主任研究員(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構)
 近年の植物科学の進展によって、品種改良に貢献できる遺伝子が多数同定されています。それに伴って、それらの有用遺伝子を戻し交配によって導入して、新しいイネ品種をつくる応用ニーズが高まっています。バイオトロンブリーディング法は、従来温暖地で数年かけて行われていた世代促進を、半分の時間に短縮できる画期的な技術です。今後の実用品種開発現場での活用に期待がかかります。


大西孝幸学振特別研究員
 共同研究の皆様と奈良先端大の素晴らしい研究環境と支援体制であり、事務の方々をはじめフロアー清掃の方にも感謝したいと思います。


吉野みほ子研技術員
 本受賞を糧として、最終目標である南極でのイネ栽培の実現に向けて、さらに研究を発展させていきたいと思っております。


受賞時の発表内容

 イネは多様な研究目的に使われる穀類のモデル植物であるが、その栽培系をシロイヌナズナの栽培系と比較すると生活環が長い、広大な栽培スペースが必要などの問題点がある。我々は、高性能人工気象器を用いて、これらの問題点を解決するバイオトロンブリーディング法を開発した。バイオトロンブリーディング法では、分げつの除去、CO2 濃度の調整などによりイネを省スペースで健全に育てることに成功した。さらに、胚救済を導入することで長い登熟期間を回避して、イネの生活環を約2ヶ月まで短縮することが可能である。バイオトロンブリーディング法を用いることにより、これまでのイネ研究の制約を打破した研究計画を実践できる。さらに、イネの新品種開発の育種年限を軽減させるといった応用も期待できる。

・関連する論文
The Biotron Breeding System: A Rapid and Reliable Procedure for Genetic Studies and Breeding in Rice
T Ohnishi, M Yoshino, H Yamakawa and T Kinoshita. Plant Cell Physiol (2011) 52 (7): 1249-1257.

(2013年03月29日掲載)

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