NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

植物生理学研究室の鳥井孝太郎さん(特別研究学生、博士後期課程2年)が「日本時間生物学会」において「日本時間生物学会学術大会優秀ポスター賞」を受賞しました。

植物生理学研究室の鳥井 孝太郎さん(特別研究学生、博士後期課程2年)が「 日本時間生物学会 」において「日本時間生物学会学術大会優秀ポスター賞」を受賞しました。

受賞のコメント

この度は、第25回日本時間生物学会学術大会において、優秀ポスター賞を受賞することができ大変嬉しく思います。この賞をいただくことができましたのは、ひとえに遠藤求教授、久保田茜助教をはじめとした研究室の皆様のご指導の賜物と、心から感謝致します。この賞を励みに、今後より一層研究に取り組んでいきたいと考えています。

受賞内容

「Cell-type specific clock system regulates cell fate」

モデル植物シロイヌナズナでは大部分の遺伝子発現に約24時間周期のリズムがみられるため概日時計は多様な生理現象にかかわると考えられていた。細胞の運命決定にかかわる遺伝子もまたこのリズムを持つが、特に概日時計と細胞の運命決定の関係についてはほとんど未解明であった。そこで本研究では子葉内の葉肉細胞を運命転換させ、幹細胞化と維管束細胞への分化を誘導する系を導入し概日時計と細胞の運命決定について調べた。その結果、時計遺伝子の変異体では分化を誘導された維管束細胞の数が顕著に減少しており、概日時計による細胞運命の制御機構が示唆された。その一方で、葉全体を対象としたバルク解析の解像度の低さが問題となったため、1細胞を対象としたトランスクリプトームを行い、細胞の運命転換時における概日時計の動態を詳細に調べた。この解析から、細胞の運命決定に先駆けて時計遺伝子の発現プロファイルが変化しており、この劇的な時計システムの再編が細胞の運命決定を支えることが示唆された。今後は概日時計による制御機構について明らかにするとともに、すでに知見の多い動物分野との比較を行い、種の枠組みを超えた概日時計と細胞の運命のかかわりについて明らかしたい。

日本時間生物学会
http://www.c-linkage.co.jp/25jsc/index.html

【植物生理学研究室】
研究室紹介ホームページ:http://bsw3.naist.jp/courses/courses115.html

(2018年10月30日掲載)

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