NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

バイオサイエンス研究科・機能ゲノム医学研究室の石田靖雅准教授が、日本癌学会のJCA-CHAAO賞を受賞

バイオサイエンス研究科・機能ゲノム医学研究室の石田靖雅准教授を含む7名の研究グループが、日本癌学会より第4回JCA-CHAAO賞を授与されました。

JCA-CHAAO賞とは?

本賞は、新たな抗がん剤・治療法に関わる研究・開発を行い、日本のがん医療の発展に多大に貢献する成果物を創出した個人又はグループの功績を称え、がん研究の一層の振興を図ることを目的として、平成23年度に日本癌学会によって設立されました。

受賞課題

今回の受賞研究課題は「PD-1抗体によるがん免疫療法の発見」です。研究グループの中で、石田准教授の場合は、PD-1の発見(1992年)に大きく貢献したことが評価されました。

受賞内容

PD-1は抗原などで刺激されたTリンパ球(T細胞)が一過性に発現する細胞表面の受容体分子で、周囲の細胞から「沈静化シグナル」を受け取り、病原体の感染などで過熱(活躍)したT細胞を元の沈静化状態に戻す役割を果たします。ところが、一部のがん細胞はこの沈静化機構を悪用し、PD-1へ過度のシグナルを送り込むことによってT細胞の機能を麻痺させ、T細胞からの攻撃を回避していることがわかりました。そこで、PD-1へのリガンドの結合をブロックする抗体を担がん患者に投与したところ、がん細胞に由来する過度の沈静化シグナルが遮断され、T細胞の細胞傷害機能が回復し、がんが著しく縮小することがわかりました。この新しいがん免疫療法は、アメリカの科学誌サイエンスにより、Breakthrough of the Year 2013 のトップに選出されました。また本年7月、ヒト型抗PD-1モノクローナル抗体は、世界に先駆け、我が国の厚生労働省によって、がん患者への投与が正式に承認されました(9月にはアメリカでも承認されました)。

(2014年10月29日掲載)

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