研究成果

研究成果

根の形を決める新しい遺伝子の発見

植物は土の中にたくさんの根を張りめぐらすことで、みずからの体をしっかりと固定し、土中の水分やミネラルを効率よく吸収することができます。地下で複雑に枝分かれした根は、大きく分けて主根(しゅこん)と側根(そくこん)の2つの部分からなります。種子が発芽してまず最初に伸びてくるのが主根で、根の内部から発芽後に作られてくるのが側根です。植物ホルモンの1つであるオーキシンは、側根の数を増やす作用があることが古くから知られています。最近の私たちのグループによる研究 で、オーキシンの信号を伝えて側根の形成を促す働きをもつ遺伝子については、すでに見つかっていました。 しかし、側根の形づくりそのものがどのような遺伝子の働きによって調節されるのかは、全く分かっていませんでした。

そこで私たちは側根の基部が異常に発達して「こぶ」のようになるシロイヌナズナの突然変異体に着目しました(図1)。この変異体では私たちが PUCHI と名付けた遺伝子に変異が起きており、これが原因で側根の形が異常になることがわかりました。PUCHI 遺伝子によって合成されるタンパク質(PUCHIタンパク質)は、転写因子という、他の遺伝子の働きを調節するタイプの1つでした。このタンパク質が側根の発達の早い段階で働いて、細胞分裂のパターンをととのえることで、正常な形の側根を作るのに役立っていると考えられます(図2)。また、PUCHI 遺伝子の働きはオーキシンの信号により活性化されることもわかりました。

これらの結果から、オーキシンの指令を受けて側根の形づくりに働く遺伝子の1つが明らかになりました。今後は、PUCHIタンパク質によって働きが調節される他の遺伝子をたくさん見つけてそれらの働きを詳しく調べることで、根の形づくりを根本から支える遺伝子ネットワークの解明が期待されます。

なお、Plant cell印刷版7月号の表紙には、本研究成果をモチーフにした図案が採用されました。


図1 PUCHI遺伝子に変異が起きると側根の基部がこぶのようにふくらむ(右)。左は正常な植物体の側根。


図2 PUCHIタンパク質を蛍光タンパク質GFPで可視化した(左)。発達初期の側根で緑色のシグナルが見られる(矢印)。その後、PUCHIタンパク質は発達中の側根の基部に局在する(右上)。puchi変異体では側根の基部がふくらむ(右下)。

掲載論文

Atsuko Hirota, Takehide Kato, Hidehiro Fukaki, Mitsuhiro Aida, and Masao Tasaka. The auxin-regulated AP2/EREBP gene PUCHI is required for morphogenesis in the early lateral root primordium of Arabidopsis. Plant Cell 10.1105/tpc.107.050674, published online on July 13, 2007.

(2007年07月20日掲載)

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