奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス領域・データ駆動型サイエンス創造センター・デジタルグリーンイノベーションセンター

分子医学細胞生物学(末次研究室)

研究内容

1) 細胞膜の形態を形成するタンパク質と細胞膜の形態に依存した細胞内シグナル伝達、特に細胞のがんとの関連

リリース記事:2019-1, 2019-2, 2021-1, 2021-2

重要な疾患である癌形成やさまざまな疾患において、細胞の形態変化が伴います。細胞の分化、初期化においても同様です。しかし、脂質膜の結合タンパク質がどのように変化、あるいは活性制御を受け、クラスリン被覆小孔、カベオラ、フィロポディア、ラメリポディア、ポドソームなどの細胞小器官の形成に異常が生じ、このような細胞の形態変化が生じるかについてはほとんどわかっていないと言ってよいと思います。バイオサイエンス、バイオナノ理工コースでは、私たちの見出したBARタンパク質などの膜結合性タンパク質や脂質膜の裏打ちとして広く存在するアクチン細胞骨格による細胞構造構築とその細胞内シグナリングにおける役割を明らかにします。膜結合性タンパク質による膜の形態形成の試験管内での再構成を行い、ついで、再構成により得られた知見と細胞機能の相関を調べます。

細胞膜上にはクラスリン被覆小孔、カベオラ、フィロポディア、ラメリポディアなど様々な微細構造が存在します。これらの微細構造は、受容体などの生理機能に重要であるだけでなく、その形態形成は細胞の貪食作用や遊走運動に重要です。近年の研究は、それぞれの微細構造に対応するBARドメインスーパーファミリーに属するタンパク質が、タンパク質の立体構造を「鋳型」として細胞膜の曲率を制御し、さらにその膜曲率が細胞内シグナル伝達や、微細構造を裏打ちするアクチン細胞骨格の形成に重要な役割を果たしていることを示しました。

脂質膜は、生命の定義の根幹をなす細胞の内外を決定する物質で有り、またすべての細胞内構造は脂質膜によって形成されます。 それに対して、脂質結合タンパク質は全タンパク質の中の1%以下程度という少数しかしられていません。 従って脂質結合タンパク質は、全体のうちのまだ氷山の一角しか明らかになっていないと考えられます。
本研究室では脂質とタンパク質の相互作用、その結果としての生命現象を理解するため、脂質結合タンパク質の機能を細胞生物学・生化学・構造生物学を用いて解明します。この中には、細胞のがん化や初期化における役割の解明も含まれます。同時に、薬の開発や疾患治療のターゲットを提供できると考えられます。

  1. 脂質結合タンパク質であるBARドメインタンパク質や,アクチン細胞骨格による細胞構造構築の制御機構の研究を行います。
  2. これらのタンパク質の細胞のがん化や初期化における役割の解明を行います。
  3. 脂質結合タンパク質は全タンパク質の中のわずかしかしられていないことから、新規な脂質結合タンパク質の探索を行います。
  4. 脂質結合タンパク質の立体構造解析を行い、脂質膜と相互作用する機序を同定します。
  5. 電子顕微鏡や超解像顕微鏡で明らかにする細胞内の微細局在と併せて、細胞の持つ微細構造構築の原理を解明していきます。
  6. 細胞の形態とこれらのタンパク質の局在の相関を深層学習を用いて調べます。
  7. 細胞の形態の特徴を用いて細胞の将来の予測を行います。

 

 

 

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