多細胞体制の構築・恒常性維持を支える細胞間相互作用の理解
- 演題
- 多細胞体制の構築・恒常性維持を支える細胞間相互作用の理解
- 講演者
- 松井 貴輝 博士 (バイオサイエンス領域 遺伝子発現制御研究室 准教授)
- 使用言語
- 日本語
- 日時
- 2025年11月27日(木曜日) 10:30~11:15
- 場所
- バイオサイエンス大講義室(L11)
- 内容
生物のからだは、膨大な数の細胞が精緻に組み合わさって構成されてお
り、それぞれの細胞が固有の機能を発揮することで、組織・器官、さらには
個体全体の生命活動が維持されている。生命現象を理解するためには、
細胞・組織・個体といった多階層にわたる構造変化、分子動態、そして生理
的プロセスの時間的推移を統合的に捉えることが不可欠である。 これま
で私たちは、多細胞体制の構築において、細胞間接着の増強機構が機能
的な器官形成に必須であることを明らかにしてきた。さらに近年、上皮組織
において、がん原性細胞、アポトーシス細胞、老化細胞といった異常細胞
が出現した際に、それらが細胞競合によって排除される現象を見いだし、こ
の仕組みが上皮組織の恒常性維持に寄与することを示唆した。 加えて最
近、老化研究の観点から「老化細胞の排除は生涯を通して機能する生体防
御機構であり、その破綻が老化関連疾患の発症を誘導する」という新たな
老化モデルを提唱している。
本セミナーでは、これらの研究成果を概説するとともに、今後の研究展望
についても紹介する。- 問合せ先
- 植物代謝制御
出村 拓 (demura@bs.naist.jp)
奈良先端科学技術大学院大学