植物の形態形成を制御する機能性アミノ酸
- 演題
- 植物の形態形成を制御する機能性アミノ酸
- 講演者
- 多部田 弘光 博士 (理化学研究所 基礎科学特別研究員)
- 使用言語
- 日本語
- 日時
- 2025年11月10日(月曜日) 15:00~16:00
- 場所
- L12会議室
- 内容
アミノ酸はタンパク質の構成要素として、あらゆる生物が持つ基本的な代謝産物である。一般的に、アミノ酸レベルは生体内で恒常的に維持されているが、近年、特定の発生現象に伴って顕著な変動を示すことが明らかになってきた。メタボローム解析は生体内の代謝産物を網羅的に分析する実験系であり、これを活用することで、植物の器官形成に伴う特殊な代謝プロファイルの特定が容易になりつつある。そこで本発表では、植物の発生現象を代謝レベルで整理する「植物発生メタボロミクス」の概念を紹介し、近年報告した形態形成に不可欠な「機能性アミノ酸」の探索および変異体を用いた表現型の変化について議論する。加えて、メタボローム解析の過程で新たに発見した、タンパク質の構成要素に用いられない非タンパク性アミノ酸(NPAA)が持つ生物活性についても紹介する。近年同定に成功した根の形態形成に影響を与えるNPAAは、ゼニゴケからシロイヌナズナ、ダイズまで、広範な植物種において生物活性を示す。当該NPAAの生物活性の詳細、生態系における役割、また化合物としての産業利用等についても議論したい。
- 問合せ先
- 植物再生学
ドル 有生 (doll.yuki.dw5@bs.naist.jp)
奈良先端科学技術大学院大学