クリミア・コンゴ出血熱ウイルス複製制御因子の解析 BSL-4施設による感染症研究へ向けて
- 演題
- クリミア・コンゴ出血熱ウイルス複製制御因子の解析 BSL-4施設による感染症研究へ向けて
- 講演者
- 平野 港 博士(長崎大学・高度感染症研究センター)
- 使用言語
- 日本語
- 日時
- 2025年9月25日(木曜日) 15:30~16:30
- 場所
- C109
- 内容
クリミア・コンゴ出血熱ウイルス(CCHFV)はナイロウイルス科に属すダニ媒介性ウイルスである。CCHFVはアフリカ、中東から中央アジアにかけ広い分布域を持ち、本邦にも侵入が危惧されている。また、その感染の致死率は最大30%に達し、ワクチンおよび特異的治療法は開発されていない。研究の遅れの理由としては、CCHFVの感染性ウイルスを利用した研究には多重の安全設備を備え、実験者および環境へのウイルス拡散を防ぐバイオセーフティレベル(BSL)-4施設が必要であることが挙げられる。しかしながら、本邦にて稼働中のBSL-4施設は国立感染症研究所の診断/治療向け目的にのみ使用可能な施設のみであり、長崎大学では基礎研究が可能な施設の稼働を目指し、活動している。
セミナーでは、BSL-4施設のコンセプトと現状について(若手の研究者/スタッフの立場として)紹介していきたい。また、現状では当学のBSL-4施設ではウイルスを所持しておらず、実際のウイルスを用いた研究は実施できない。そこで、現状でも実施可能な代替実験として、ウイルスの一部タンパク質を用いた複製解析系(ミニゲノム系)を用いた抗ウイルス薬スクリーニングを実施した。また、ウイルスタンパク質発現細胞の次世代シークエンシング等により、ウイルスによるmicroRNA代謝の制御が観察されている。これら進行中の研究の現状について共有したい。これらの成果は将来的にはBSL-4施設での検証へと展開し、高病原性ウイルス複製の理解と治療法開発の基盤となることが期待される。
- 問合せ先
- RNA分子医科学研究室
椎森仁美 (masami.shiimori@bs.naist.jp)