NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

植物概日時計における長距離相互作用

演題 植物概日時計における長距離相互作用
講演者 高橋 望 博士 (バイオサイエンス領域 植物生理学研究室 助教)
使用言語 日本語
日時 2025年6月9日(月曜日) 10:30~11:15
場所 C109
内容

地球の自転による24時間周期の環境変化に対し、多くの生物が体内に概日時計を持つことでタイミングを予測し、生理機能を適応させている。多細胞生物において、個体として最適な生理応答を行うには、個々の細胞に備わった時計が持つ時間情報を各器官間で共有し、統合する必要がある。哺乳類では、脳深部の視交叉上核に存在する中枢時計が、液性因子や神経を通じて体各所の末梢時計を支配する、という階層性が認められている。一方、植物については長年のあいだ、個々の細胞に備わる概日時計が自律的に機能していると考えられていた。私たちは植物概日時計の機能を個体以上の解像度で解き明かすことを目指し、これまでに組織や器官ごとでの役割分担や、それらの間で行われる概日コミュニケーションの存在を明らかにしてきた[1], [2]。現在は、光合成や蒸散など重要な役割を担う器官である葉に着目し、葉の概日時計が他の概日時計と情報のやり取りを行う可能性について検証を進めている。本セミナーでは本研究に加え、関連する研究の成果[3],[4] なども踏まえ、個体の一部として各部の概日時計が持つ役割について議論を行いたい。

問合せ先 植物代謝制御
出村 拓 (demura@bs.naist.jp)

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