タンパク質のX線結晶解析と創薬への応用
- 演題
- タンパク質のX線結晶解析と創薬への応用
- 講演者
- 北野 健 博士 (バイオサイエンス領域 構造生命科学研究室)
- 使用言語
- 日本語
- 日時
- 2025年3月25日(火曜日) 12:00~12:45
- 場所
- L12会議室
- 内容
ヒトのタンパク質には,病気の原因になる一方で,別の病気を治療するための創薬ターゲットになるものが存在する。本セミナーでは,研究を進めてきた様々なタンパク質のなかから,創薬への応用が期待されるものを選んで紹介させて頂く。
三量体Gタンパク質は,身体中の器官が正常に働くように個々の細胞内へ指令を与えている。本学で共同研究を行った結果,阻害剤(リード化合物)との複合体X線結晶解析に成功して,阻害剤が「分子くさび」と名付けた巧妙な作用でGタンパク質の開口運動をブロックしていることが分かった [1, 2] 。この開口運動の重要性は,直後にアメリカのグループ(ノーベル化学賞を受賞)が発表したGタンパク質共役受容体(GPCR)との複合体結晶構造によって実証された。
一方,WRNヘリカーゼ [3, 4] は,ウェルナー症候群とよばれる難病の原因タンパク質である。患者数が限られていることもあり,あまり注目されてこなかったタンパク質であるが,近年,一般人に対する抗がん剤ターゲットとして臨床研究が急速に進められている。同時に,WRNヘリカーゼから切り出した小さなタンパク質ドメインは,東大のグループが開発を進めている「結晶スポンジ法」を,タンパク質レベルの巨大分子に発展させる可能性を秘めている。- 問合せ先
- 遺伝子発現制御
別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp)