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奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

Seminar セミナー情報

枯草菌バイオフィルムの光応答機構

演題
枯草菌バイオフィルムの光応答機構
講演者
小林 和夫 博士 (バイオサイエンス領域 原核生物分子遺伝学研究室 助教)
使用言語
日本語
日時
2025年3月11日(火曜日) 12:00~12:45
場所
L12会議室
内容

 微生物は、環境中では多くの場合バイオフィルムと呼ばれる定着型の微生物集合体を形成している。バイオフィルム中では微生物細胞は菌体外多糖やタンパク質ポリマー、DNAなどから成るマトリックスで覆われており、マトリックスを介して隣の細胞や物体表面と接着している。そのため物理的除去、抗菌薬などに耐性を示すバイオフィルムは、感染症や食中毒、機器の汚染など様々な問題を引き起こす。また、バイオフィルムでは、バイオフィルム内の環境勾配に応じた細胞分化や微生物の棲み分け、微生物間の共生・競合、動植物など他生物との相互作用など浮遊型の微生物では見られない現象が見られる。そのためバイオフィルムは基礎科学的興味の対象にもなっている。
 私は主にグラム陽性菌のモデル微生物である枯草菌を用いてバイオフィルム形成の解析を行ってきた。枯草菌は土壌や植物根圏に生息し、土壌表面に進出して光にさらされている可能性がある。しかし、その光応答機構はほとんど知られていない。私は、増殖に影響しないレベルの光照射が枯草菌バイオフィルムの発達に大きな影響を及ぼすことを見出した。この光応答は光受容タンパク質ではなく、枯草菌が生産、分泌するFe 3+のキレーターであるプルケルミン酸を介して起こっていた。本セミナーでは枯草菌バイオフィルムの光応答機構を紹介する。

問合せ先
遺伝子発現制御
別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp)