NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

重力応答から解き明かす植物の形態形成

演題 重力応答から解き明かす植物の形態形成
講演者 川本 望 博士 (自然科学研究機構 基礎生物学研究所 特任助教)
使用言語 日本語
日時 2024年12月12日(木曜日) 10:00~10:45
場所 Rethinkバイオサイエンス大講義室(L11)
内容

植物は周囲の環境に応じて形態を変化させることで生育の最適化を図っている。重力は植物の形態に影響を与える環境要因の一つであり、重力を指標とした植物器官の成長角度はGravitropic Setpoint Angle (GSA)と呼ばれ、二つの相反する成長要素、重力屈性とAnti-Gravitropic Offset (AGO)のバランスによって決定されると考えられている。しかしながら、AGOはその存在を仮定すれば、GSAをうまく説明することのできる仮説上の成長要素であり、その実態は長らく不明なままであった。我々は重力屈性のシグナル伝達因子LZYファミリー遺伝子の機能喪失変異体の示す表現型を利
用することで、AGOが重力屈性と同様に重力感受細胞を必要としていること、デンプンを蓄積したアミロプラストを平衡石として重力感受に利用していることを明らかにしてきた。AGOの分子的な実態の解明に向けて、TILLER ANGLE CONTROL1(TAC1)遺伝子に注目して研究を進めている。TAC1はLZYとよく似たタンパク質をコードするものの、LZY機能に必要不可欠な配列を欠いている。この配列の有無がLZYとTAC1が重力屈性とAGOのいずれに寄与するのかを決定づける可能性を明らかにしつつある。本セミナーではTAC1の機能解析を中心に、GSA決定の制御機構に関して議論する。このほか、重力屈性のシグナル伝達因子であるLZY1が細胞分裂面の位置決定に関与する可能性を見出しており、こちらの研究についても紹介したい。

問合せ先 遺伝子発現制御
別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp)

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