NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

神経細胞の移動を担う細胞膜張力を介したシグナル伝達機構

演題 神経細胞の移動を担う細胞膜張力を介したシグナル伝達機構
講演者 嶺岸 卓德 博士(バイオサイエンス領域 神経システム生物学研究室 助教)
使用言語 日本語
日時 2024年12月6日(金曜日) 10:00~10:45
場所 Rethink バイオサイエンス大講義室 (L11)
内容

 神経細胞の移動は脳や神経ネットワークの形成に不可欠の過程であり、神経細胞は先導突起の伸長と細胞体の前進を繰り返すことで移動する。先導突起の伸長は、先端部の成長円錐で生み出される牽引力により駆動さ
れる。一方、細胞体の前進は、Ca2+シグナリングを介して活性化したアクトミオシンの収縮力によって駆動されることが知られている。しかしながら、2つの移動ステップを同調させる機構は不明であった。我々は、走査型イオン
伝導顕微鏡等を用いた解析により、先導突起の伸長が細胞膜張力を増加させることを見出した。さらに、この細胞膜張力の増加に応答して機械受容チャネルが活性化してCa2+流入を引き起こし、細胞体の前進に必要なアクト
ミオシンの活性化が起こることが解った。
 また、我々は、先導突起の伸長に必要な牽引力の発生機構と同様な仕組みが記憶学習に重要なシナプスの可塑的変化にも働くことを明らかにした。本セミナーでは、我々がこれまでに行った神経細胞の移動に関する研究成果について主に解説するとともに、シナプスの可塑的変化に関する研究成果についても紹介したい。

問合せ先 遺伝子発現制御
別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp)

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