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奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

Seminar セミナー情報

人工RNA結合モジュールを用いたRNAスプライシング誘導技術

演題
人工RNA結合モジュールを用いたRNAスプライシング誘導技術
講演者
田村 泰造 博士 (バイオサイエンス領域植物代謝制御研究室博士研究員)
使用言語
日本語
日時
2024年5月23日(木曜日) 15:00~15:45
場所
大セミナー室(C109)
内容

標的核酸配列に合わせて結合能力を最適化できる人工核酸結合モジュールの利用は、ゲノム編集技術などのDNAを標的とした遺伝子操作技術の基盤技術として急速に発展し、基礎・応用科学研究に留まらず、幅広い産業分野で功績を残している。一方で、人工核酸結合モジュールを利用して、生体内の複雑かつ高度な分子反応を支えるRNAを操作する技術は未だ基礎科学レベルでの利用に留まっており、実用性を示すためにも継続的な技術改良と新規の遺伝子操作システムの創出が課題となっている。
本研究は、人工核酸結合モジュールを介して標的RNAを捕捉し、その発現や修飾過程を人為的に操作する遺伝子操作システムの創出を目的としている。Pentatricopeptide repeat (PPR) タンパク質に由来する人工RNA結合モジュールを合成し(論文1)、これにRNAスプライシングに寄与する種々の調節因子を連結することでRNAスプライシングを操作する人工調節因子を作成した。シロイヌナズナ内在遺伝子RNAを標的としてスプライシング制御実験を行った結果、スプライソソームのRNA局在化調節に寄与するSRタンパク質の活性ドメインを用いることで、標的RNAに対してRNAスプライシングを誘導できることを明らかにした。発表では、研究の詳細について述べるとともに、PPRタンパク質由来の人工RNA結合モジュールを用いた遺伝子操作技術に関する研究(論文2) と今後の展望について紹介する。

問合せ先
遺伝子発現制御
別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp)