NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

NMR動的構造解析による多剤耐性機構の理解

演題 NMR動的構造解析による多剤耐性機構の理解
講演者 竹内 恒 教授(東京大学大学院薬学系研究科 生命物理化学研究室)
使用言語 日本語
日時 2023年11月13日(月曜日) 16:00~17:00
場所 Rethink大講義室(L11)
内容
多剤耐性機構においては、多様な構造を持つ薬剤に高い親和性で結合する多剤耐性転写制御因子(MDTR)がセンサーとして機能し、薬剤を細胞の外に排出する多剤耐性トランスポーターの発現を制御する。これはすべての生物種に存在する基本的な防御機構であり、病原細菌でその存在が良く知られているだけでなく、ヒトにおいてもPXRによるP糖タンパク質の発現誘導により、抗がん剤が効かなくなることが知られている。
我々は、NMR法による動的構造解析により、MDTRがどのようにして多様な薬剤と高い親和性で結合できるのか?また、どのようにして様々な薬剤への結合を転写制御へと機能的に変換するのか?について横断的な研究を行ってきた[1-3]。また最近では多剤耐性トランスポーターがMDTRと共役しながら働くことのできる仕組みも明らかにしつつある。多剤耐性機構においてはタンパク質のダイナミクスや非特異的な相互作用がその機能発現と密接にかかわっている。そのような系の理解にNMR法を用いた動的構造解析が有効であることも併せて紹介したい。
問合せ先 構造生命科学研究室
塚崎 智也 (ttsukaza@bs.naist.jp)

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