細胞膜の形態制御による細胞間情報伝達
- 演題
- 細胞膜の形態制御による細胞間情報伝達
- 講演者
- 西村 珠子 博士(バイオサイエンス領域 分子医学細胞生物学研究室 助教)
- 使用言語
- 日本語
- 日時
- 2023年7月31日(月曜日) 15:30~16:15
- 場所
- Rethink バイオサイエンス大講義室 (L11)
- 内容
- 細胞は、細胞膜の形態を変化させ、細胞運動や物質の取り込み等を行う。また細胞は、近傍や遠隔の細胞と直接・間接に相互作用し、細胞間の情報伝達を行う。しかしながら、細胞間情報伝達における細胞膜の役割とその制御機構については、未だ解明されていない。
我々は、細胞膜上の細胞突起フィロポディアが、I-BARファミリータンパク質MIMにより形成・切断され、膜小胞である細胞外小胞が形成されることを、初めて見出した。MIMによる細胞外小胞は、受容細胞にエンドサイトーシスにより取り込まれ、内包するRac1の作用により、細胞運動を促進した。一方、I-BARタンパク質IRSp53は、インテグリンを持つ細胞外小胞を形成し、小胞を介して受容細胞の増殖を促進した。従って、これらの細胞外小胞は、細胞間の情報伝達を担うと考えられた。さらに、I-BARタンパク質により膜上に形成されたラメリポディアは、上皮細胞で細胞間接着が形成される際に、細胞層のバリア機能の形成に関与した。
従って、細胞膜の形態制御を介して、細胞間の様々な情報伝達が行われることが示唆された。 - 問合せ先
- 遺伝子発現制御
別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp)