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奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

Seminar セミナー情報

ガス交換系形成の分子メカニズムおよび陸上植物における共通性と多様性の解明を目指して

演題
ガス交換系形成の分子メカニズムおよび陸上植物における共通性と多様性の解明を目指して
講演者
水谷 未耶 博士(名古屋大学 生物機能開発利用センター 研究員)
使用言語
日本語
日時
2023年7月31日(月曜日) 13:30~14:15
場所
Rethink バイオサイエンス大講義室 (L11)
内容
 植物の間隙は、呼吸や光合成を行うための「ガス交換系」として機能し、植物の陸上への適応に不可欠である。そのため、形態学的な解析は古くからおこなわれているものの、発生の分子的な仕組みは明らかにされていなかった。その理由として、間隙が生存に不可欠であるがゆえに制御因子のノックアウト株は致死となり、分子的な解析が困難であった可能性が挙げられる。そこで私たちは、陸上植物の進化的に基部に位置する苔類ゼニゴケの間隙に注目して研究を行ってきた。本発表では、まず苔類ゼニゴケを用いて間隙の形成を正に制御する因子NOPPERABO1(NOP1)を単離した研究を紹介する(論文1)。次にNOP1と相互作用する因子を探索し、間隙形成制御因子の単離を行った研究を紹介する。また、NOP1と近縁なシロイヌナズナの2つの因子が、細胞壁成分の合成や分解を制御して海綿状組織と気孔から成るガス交換系の形成を制御していることを明らかにした。この共通性を踏まえて再解析を行ったところ、NOP1と相互作用する新たな因子がゼニゴケの孔の発生を制御することが明らかになった。また、ゼニゴケの間隙形成を負に制御する因子の単離についても紹介し、これらを踏まえて植物のガス交換系発生の分子機構やその進化について議論したい。
問合せ先
遺伝子発現制御
別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp)