液胞膜におけるグルコシノレート輸送メカニズムの解明
- 演題
- 液胞膜におけるグルコシノレート輸送メカニズムの解明
- 講演者
- 遠藤嘉一郎 博士(ヤギェウォ大学(ポーランド) Matopolska Centre of Biotechnology 研究員)
- 使用言語
- 日本語
- 日時
- 2022年1月20日(木曜日) 16:45~17:30
- 場所
- オンライン開催(Webex)
- 内容
- アブラナ科植物に特有の化学防御物質であるグルコシノレートは、葉にお
いてβ‐グルコシダーゼの一種であるミロシナーゼにより代謝され、忌避物質
のイソチオシアネートやニトリルに変換される。イソチオシアネートはカラシ
油成分であることから、この植物防御システムはマスタードオイルボムシス
テムと呼ばれている。二次代謝産物のグルコシノレートは、主に葉の維管
束組織で合成され、葉縁に蓄積することがわかっている。しかし、グルコシ
ノレートが代謝産物の主な蓄積器官である液胞に輸送される仕組みはまっ
たくわかっていない。
本研究では、液胞膜に存在する新規のグルコシノレート輸送体の同定を
目的とし、シロイヌナズナの公共データベースを使用したイン・シリコ・スク
リーニングから輸送体候補遺伝子を選別した。これらの候補輸送体のグル
コシノレート輸送活性を調べるたところ、候補遺伝子を発現させた酵母細胞
では、培地に添加したグルコシノレートを蓄積することが明らかとなった。こ
の発現株では細胞の増殖も阻害されることから、液胞に輸送されたグルコ
シノレートが毒性をもつイソチオシアネートに変換されていることが示唆され
た。また候補輸送体は植物において液胞膜に局在することが確認された。 - 問合せ先
- 植物成長制御
梅田 正明 (mumeda@bs.naist.jp)