NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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シロイヌナズナ概日時計における器官特異性と長距離シグナルの解明

演題 シロイヌナズナ概日時計における器官特異性と長距離シグナルの解明
講演者 高橋 望 博士
(元Centre for Research in Agricultural Genomics (CRAG) (スペイン) 博士研究員)
使用言語 日本語
日時 2020年5月20日(水曜日) 09:30~10:15
場所 ZOOMによる電子開催(参加をご希望の方は、ZOOMのURLをお知らせいたしますので、bs-office@bs.naist.jpまで参加希望の旨をご連絡ください。)
内容

地球の自転に伴う環境変化に適応するため、多くの生物は体内に約24時間のリズムを生み出す概日時計を持つ。哺乳類では、脳の視交叉上核(SCN)にある中枢時計が、全身の細胞にある末梢時計を支配する階層構造が認められている。一方植物においては、個々の細胞の概日時計がどのように機能しているか、またどのように相互作用し植物全体として概日リズムを刻んでいるかは、まだよく分かっていない。
そこで私たちは、シロイヌナズナを用いて、器官ごとの概日時計の機能および器官どうしの概日時計のコミュニケーションについて調べた。その結果、各器官の概日時計には差異があり、その中でも茎頂にある概日時計どうしが強く共役していることが分かり、同調の強さが茎頂の概日時計に精度をもたらしていることが見いだされた。さらに、茎頂が離れた場所である根の概日時計を制御していることも明らかになり、シロイヌナズナ概日時計の器官どうしに階層的な構造が存在することが示された。また、時計タンパク質ELF4がシュートから根に移動し、根の概日時計を温度依存的に制御することも分かり、ELF4の長距離時間情報シグナルとしての機能が示された。
本発表では、これらの知見と研究の今後の方向性について紹介する。

問合せ先 植物細胞機能研究室
橋本 隆 (hasimoto@bs.naist.jp)

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