気孔開閉の制御に対する病原体からの選択圧と進化的トレードオフ
- 演題
- 気孔開閉の制御に対する病原体からの選択圧と進化的トレードオフ
- 講演者
- 峯 彰 博士(立命館大学生命科学部・JSTさきがけ)
- 使用言語
- 日本語
- 日時
- 2019年11月7日(木曜日) 16:00~17:00
- 場所
- 大セミナー室
- 内容
陸上植物は気孔の開閉を制御することで、光合成に必要なガス交換や蒸散を調節する。また、葉の表面を覆うクチクラ層を通過することができない細菌などの微生物にとって、自然開口部である気孔は植物内部へ侵入するための主要な経路だと考えられている。植物は、細菌の鞭毛タンパク質などの微生物に広く存在する分子を認識して気孔を閉じることで、微生物の侵入を阻止する。これに対して、植物内部に侵入して病気を引き起こす病原細菌の多くが、ジャスモン酸 (JA)シグナリングを活性化する病原性因子を介して気孔の再開口を促すことが明らかにされてきている。しかしながら、その分子メカニズムに関しては満足な説明がなされていない。本セミナーでは、病原細菌Pseudomonas syringaeによるJAシグナリングの活性化が気孔開口へ繋がる仕組みについて、未発表のデータを交えて紹介する。また、病原細菌に利用されてきたにもかかわらず、JAシグナリングを介した気孔開口がどうして今に至るまで維持されてきたのか、その理由について、気孔を介した環境応答や共生細菌に対する応答という観点から考察したい。
- 問合せ先
- 植物発生シグナル研究室
宮島 俊介 (s-miyash@bs.naist.jp)