NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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血管の恒常性維持と網膜疾患におけるインテグリンシグナルの役割

演題 血管の恒常性維持と網膜疾患におけるインテグリンシグナルの役割
講演者 金井 賢一 博士(Technical Support representative, CarnaBio USA, Inc. )
使用言語 日本語
日時 2017年12月11日(月曜日) 15:00~15:45
場所 大セミナー室
内容
私たちの身体は様々な細胞で構築されており、周辺環境や細胞間相互作
用を通して恒常性を維持している。この破綻は発がんなどの多くの疾患に
結びつくと考えられている。血管内皮細胞は血管を構成する主要な細胞で
あり、互いに結合し管状構造を形成する。この血管の構造や恒常性維持に
は内皮細胞を取り巻く細胞外マトリクス(ECM)が重要であることが知られて
いる。
わたしたちは、血管におけるECMの役割に迫るためにECM受容体である
インテグリンに注目し、血管新生や血管の恒常性維持について解析を行っ
た。内皮細胞で主要なインテグリンであるb1サブユニット(ITGB1)の血管内
皮細胞特異的なコンディショナルノックアウトマウスの解析から、脳や網膜
で異常な出血が生じることを見出した。またこの出血の原因として、内皮細
胞間の接着結合の主要因子であるVE‐cadherinの局在異常がITGB1の機能
阻害により引き起こされること明らかにした(Yamamoto et al., 2015)。さらに
家族性滲出性硝子体網膜症の患者からインテグリンシグナルの主要因子
であるILKの3箇所のミスセンス変異を同定し、この変異がILKの機能低下を
引き起こすこと、ILKのノックアウトでも類似の表現型が得られることを明ら
かにした。これらの結果から、インテグリンシグナルが家族性滲出性硝子体
網膜症の新たな原因遺伝子であるとしめした。
問合せ先 植物細胞機能
橋本 隆 (hasimoto@bs.naist.jp)

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