セミナー情報

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シロイヌナズナにおける種皮ムシレージの放出制御機構

演題 シロイヌナズナにおける種皮ムシレージの放出制御機構
講演者 國枝 正 博士(甲南大学理工学部生物学科 特任研究助教)
使用言語 日本語
日時 2017年8月17日(木曜日) 10:00~10:45
場所 大セミナー室
内容 移動能力を持たない植物とって,種子は分布領域を拡大するための重要な役割を担っている.散布体としての機能を最大限に発揮するため,植物は種子の形態や構造を進化させてきた.シロイヌナズナの種皮には,“ムシレージ”と呼ばれるペクチン性多糖が大量に蓄積されている.ムシレージは種子吸水によって膨張し,種皮から素早く放出される.放出されたムシレージは,種子の周りにゲル状のカプセルを形成することで,発芽時の乾燥から胚を保護している.しかしながら,ムシレージ放出を制御する分子メカニズムはよく分かっていなかった.私は,分泌型ペルオキシダーゼPEROXIDASE36(PER36)がムシレージの種皮からの放出に関与することを明らかにした(1).PER36は種子形成初期に一過的に発現し,種皮のムシレージ蓄積細胞を囲む細胞壁の特定のドメインのみに局在した.per36変異体では,ムシレージの放出異常を引き起こしていた.この異常は,吸水膨張したムシレージが細胞壁と細胞膜の間の空間に閉じ込められた状態のままであることが原因であり,細胞壁ペクチンの可溶化処理によって改善した.したがって,PER36は細胞壁を分解することによってムシレージの放出を制御していると考えられる.また,種皮形成制御因子として植物特異的なNAC転写因子であるNAC-REGULATED SEED MOLPHOLOGY1(NARS1)およびNARS2を同定し(2),PER36の発現がNARSによって制御されていることも明らかにした.本セミナーでは,PER36を中心にしてムシレージの放出制御メカニズムを紹介するとともに,今後の展望について議論したい.
問合せ先 植物細胞機能
橋本 隆 (hasimoto@bs.naist.jp)

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