NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

高等動物の減数分裂における染色体動態と細胞周期制御

演題 高等動物の減数分裂における染色体動態と細胞周期制御
講演者 石黒 啓一郎 博士
慶應義塾大学・医学部システム医学講座
特任講師
使用言語 日本語
日時 2015年9月1日(火曜日) 13:00~14:00
場所 バイオサイエンス研究科 大セミナー室
内容 減数分裂における染色体分配様式は、第一分裂に還元型(半数化)の染色体分配が余分に挿入されている点が体細胞分裂と異なり、両者の本質的な違いを決定付けている。とりわけ、減数第一分裂における(1)姉妹動原体の接着制御、(2)二価染色体の 形成機構、(3)染色体のaxis構造形成、(4)核膜に沿った染色体運動、これらの問題の分子機構が謎とされていた。しかしながら高等動物では、酵母、ショウジョウバエ、線虫のような遺伝学的スクリーニング手法が容易に適用できないために、その染色体制 御機構の解明は大いに攻め倦んでいた。 我々はマウス生殖細胞クロマチン画分からの蛋白質複合体の精製・質量分析法およびyeast two hybrid法を駆使したスクリーニングにより、体細胞との決定的な違いを生み出す生殖細胞特有の染色体構造について焦点を当て研究を推進してきた。その 結果、減数第一分裂に特異的なセントロメア局在因子1、減数分裂型の新規コヒーシン複合体2, 4、染色体末端と核膜とを繋ぐテロメア結合因子3など、複数の新規染色体結合因子を同定した。奇しくもこれらはすべてデータベースに眠っていた未解析の因 子であったが、欠損マウスの解析から減数分裂における染色体動態の制御に極めて重要な役割を果たしていることが明らかとなった。本セミナーでは、長年の懸案とされていた減数分裂における染色体動態の諸問題の解明について紹介するとともに、体 細胞型増殖から減数分裂へのスイッチ機構と減数分裂型の細胞周期制御の解明に向けた研究の展望について議論する。
問合せ先 構造生物学
箱嶋 敏雄 (hakosima@bs.naist.jp)

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