セミナー情報

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新しい成長因子の研究メカニズムと脳機能調節の関係

演題 新しい成長因子の研究メカニズムと脳機能調節の関係
講演者 小島 正己 博士
(産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門 分子細胞病態研究特別チーム
JST/CREST、大阪大学大学院生命機能研究科)
使用言語 日本語
日時 平成27年7月17日(金曜日) 17:00~18:00
場所 大セミナー室
内容

私たちは、脳の成長因子およびその遺伝子配列中の一塩基多型に注目し た研究から、脳疾患の病態解明を目指している。本セミナーでは、脳由来神経栄 養因子 BDNF(brain-derived neurotrophic factor)について、これまでの成長 因子の概念を変えうる新しいメカニズムを発見したので紹介する(Mizui et al.,PNAS,2015)。  BDNFは、脳内神経回路のシナプス神経伝達、さらには記憶・学習の細胞メカニ ズムのシナプス伝達の長期増強現象(LTP:long-term potentiation)を増強す る。BDNFも、他の成長因子と同じく、その前駆体の細胞内外におけるプロテアー ゼ切断により成熟体BDNF とBDNFプロペプチドに変換される(proBDNF→BDNF+BDNF pro-peptide)。成熟体BDNFはその受容体TrkBに作用しシナプス形成やシナプス 可塑性(LTP)の調節を行う。しかし、同時に産生される BDNFプロペプチドの役 割はこれまで十分に解明されていなかった。我々は、BDNFプロペプチドが海馬神 経細胞のシナプス前部に存在することを 近年報告し(Dieni et al., JCB, 2012)、BDNFプロペプチドがシナプス部位で機能を発揮する可能性を示唆した。 そして、BDNFプロペプチドのシナプス機能への関与を調べたとこ ろ、長期抑圧 現象(LTD;long-term depression 以下LTDと略)と呼ばれるシナプス可塑性の メカニズムを増強することを見出した。つまり、BDNFプロペプチドはLTDを促進 さ せる生理活性分子であること、BDNFはLTP、BDNFプロペプチドはLTDを促進す ることが明らかになった。  本セミナーでは、シナプス可塑性分子として知られるAMPA型グルタミン酸受容 体(AMPAR)に注目した細胞レベルのデータ、ヒトBDNFプ ロペプチドのアミノ酸を 置換する一塩基多型によるプロペプチド生理活性の変化のデータも紹介し、BDNF 分子群と記憶のメカニズムの関係、脳疾患 との関係も議論したい。
問合せ先 神経機能科学
塩坂 貞夫 (sshiosak@bs.naist.jp)

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