レドックス制御を介した環境ストレス応答と分子育種
- 演題
- レドックス制御を介した環境ストレス応答と分子育種
- 講演者
- 重岡 成 教授(近畿大学 農学部)
- 使用言語
- 日本語
- 日時
- 2013年12月9日(月曜日) 15:30~16:30
- 場所
- 大セミナー室
- 内容
- 酸素発生型の光合成を行う植物や藻類では、光合成電子伝達系などによる活性酸素種(ROS)の生成は避けられない。さらに、様々な環境ストレス条件下では、オルガネラでのROS生成量は増大し、細胞や個体は最終的に酸化ストレスを被る。一方、ROSと抗酸化物質とのクロストークによる細胞 内のレドックス状態の変化は、レドックスシグナルとしてストレス応答時の防御系の発現制御、細胞分化や伸張、細胞周期制御、プログラム細胞死およ びホルモンシグナリングなどの種々の生理応答に関与している。したがって、細胞内ROS量を抑制するだけでなく、常時厳密に量的/空間的な制御を する必要があるため、酸化的ストレス防御と細胞内レドックス制御は渾然一体の機構となる(Plant Physiol 155, 93-100, 2011)。これまでに我々は光合成生物におけるアスコルビン酸をはじめとする抗酸化物質とROSによるレドックス制御を介した環境ストレス応 答・耐性やこれと表裏一体にある光合成炭素代謝の分子メカニズムの解明、さらには関連する遺伝子群の導入による環境ストレス耐性や生産性を向上さ せた分子育種に関する研究を行ってきた。本セミナーでは、光合成生物における種々の環境ストレス応答・耐性の分子機構について、最近の知見を中心に紹介したい。
- 問合せ先
- 分化・形態形成学
横田 明穂 (yokota@bs.naist.jp)