網膜研究による中枢神経系構築メカニズムの解明
- 演題
- 網膜研究による中枢神経系構築メカニズムの解明
- 講演者
- 古川 貴久 教授(大阪大学蛋白質研究所 分子発生学教室)
- 使用言語
- 日本語
- 日時
- 2013年11月15日(金曜日) 16:00~17:30
- 場所
- 大セミナー室
- 内容
- 網膜研究は、神経科学や発生学におけるモデルシステムとして極めて大きな貢献をしてきた。古くはカハールによる網膜の観察から、樹状突起が情報受容装置であることの提唱、近年のガイダンス分子の濃度勾配による神経投射形成機構の研究、ニューロンとグリアが共通の前駆細胞由来であることの発見など様々な重要な科学的知見が網膜の研究から得られてきた。
私たちは、網膜視細胞を中心に細胞の運命決定機構、細胞形態形成、シナプス形成、神経生理機能といった面から多角的に研究を推進してきた。視細胞には繊毛(cilia)と呼ばれる細胞小器官が存在するが、繊毛は、感覚神経細胞や上皮細胞などの細胞表面に発達する構造体で、細胞の「アンテナ」としての機能を持つ。近年、繊毛形成に関係する遺伝子の変異が、ヒトにおける種々の疾患(失明、腎障害、肥満、内臓逆位など)の原因となっていることが相次いで報告され、盛んに研究されている。本セミナーでは、網膜シナプス形成や繊毛の形成機構などに関して、私たちが最近得た結果について述べる。
- 問合せ先
- 動物遺伝子機能
川市 正史 (mkawaich@bs.naist.jp)