セミナー情報

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窒素同化と植物転写因子

演題 窒素同化と植物転写因子
講演者 柳沢 修一 准教授(東京大学生物生産工学研究センター)
使用言語 日本語
日時 2012年12月19日(水曜日) 14:00~15:00
場所 大セミナー室
内容
植物は、グルタミン酸とアンモニアからグルタミンを合成したあとアミド基を2-オキソグルタル酸に転移して2分子のグルタミン酸を生成することにより、窒素の同化を行っている。転写因子Dof1は2-オキソグルタル酸合成経路の複数の酵素遺伝子の発現を促進することからDof1を用いて2-オキソグルタル酸合成量を増大させ窒素の同化量を増加させられるかどうか検討して、Dof1転写因子を発現しているシロイヌナズナでは遊離アミノ酸の総量の増加とともに窒素含量自体が増加していることを示してきた。しかしながら、栄養環境の異なる生育条件で生育させたDof1シロイヌナズナを用いた代謝物解析の結果から、アンモニアが培地から直接的に供給された場合にのみDof1依存的な窒素同化量の上昇が起ることが明らかとなった。このことは、転写因子Dof1は2-オキソグルタル酸の生合成経路は活性化するが硝酸をアンモニアへと還元するプロセスは促進しなかったためと考えられた。すなわち、硝酸が主たる窒素源となっている陸上において植物の窒素同化を強化するためにはDof1単独の働きでは不十分であることが示唆された。そこで、硝酸還元に関わる酵素、硝酸還元酵素と亜硝酸還元酵素の遺伝子の発現を制御する転写因子の同定を行った。これら遺伝子の硝酸に応答した発現を担う配列(nitrate-responsive cis-element, NRE)の同定したところ、これらの遺伝子は類似した配列によって発現が制御されていることが判明した。さらに、最近、この配列に結合して転写を促進する転写因子NBP(NRE-binding protein)を同定に成功した。このことによって、Dof1の活用による2-オキソグルタル酸合成の促進とNBPを用いたアンモニア生成の促進を組み合わせた新しい窒素同化量向上のための新しいストラテジーが可能となった。NBPの同定を中心に、Dof1とNBPを併用した新しいストラテジーの有効性についても議論する。
問合せ先 植物細胞機能
橋本 隆 (hasimoto@bs.naist.jp)

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