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連続的なリン酸化を介した植物細胞質分裂の制御機構

演題 連続的なリン酸化を介した植物細胞質分裂の制御機構
講演者 笹部 美知子 准教授 (弘前大学農学生命科学部生物学科)
使用言語 日本語
日時 平成24年9月25日(火曜日) 15:30~16:30
場所 L12会議室
内容
細胞質分裂は、細胞分裂の最後の重要なステップで、多段階で複合的な過程である。植物の細胞質分裂では、細胞板と呼ばれるしきりが細胞の内側から外側に拡大成長することにより細胞が二分されるが、この過程は微小管を主成分とするフラグモプラストと呼ばれている細胞質分裂装置の中で起こる。我々はこれまでに、キネシン様タンパク質、NACK1 とMAPKカスケードから成るNACK-PQR経路が植物の細胞質分裂を制御する中心の制御系であることを明らかにしてきた。NACK-PQR 経路は細胞質分裂時に特異的に活性化され、フラグモプラスト微小管の動的不安定性を引き起こすことにより、フラグモプラストの親細胞壁への拡大伸長を誘導している。
NACK-PQR経路は、NACK1とMAPKカスケードの最初の酵素であるNPK1 MAPKKKが直接結合することにより活性化される。この活性化は細胞質分裂時に特異的であるが、この特異的な活性化を制御するメカニズムは明らかではなかった。最近、我々は、この制御にサイクリン依存性キナーゼ(CDK)が関与していることを見いだした。M期中期以前、NPK1とNACK1はCDK活性に依存してリン酸化されており、そのリン酸化は、NPK1とNACK1の直接結合を阻害していた。細胞質分裂異常を示すAtNACK1/HINKEL (NACK1のシロイヌナズナホモログ) の変異体において、CDKリン酸化サイトにリン酸化ミミック変異を持つAtNACK1はこれを相補することが出来なかった。これらの結果はCDKが、適切な時期までNACK-PQR経路の活性化を抑制する因子として機能していること、つまり、CDKはM期の初期から細胞質分裂の開始、もしくは進行のタイミングを制御していることを示唆している。このような細胞分裂の正確な時間的制御が細胞分化に与える影響についても議論したい。
問合せ先 植物組織形成学
梅田 正明 (mumeda@bs.naist.jp)

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