NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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ストレス時に働く核―細胞質間輸送運搬体分子Hikeshi(火消し)

演題 ストレス時に働く核―細胞質間輸送運搬体分子Hikeshi(火消し)
講演者 今本 尚子 主任研究員(理化学研究所)
使用言語 日本語
日時 2012年9月14日(金曜日) 15:00~16:00
場所 L12会議室
内容
環境ストレスに応答した細胞内では、importin bファミリーで担われる核―細胞質間輸送が低下する。その一方で、代表的な分子シャペロンHsp70は熱ショックなどのストレスに応答して核に集積することが30年も前から知られていた。 ストレス時にHsp70が核に移入するメカニズムや、核に集積することの生理的重要性は明らかにされていなかった。私たちは、生細胞内で見られるストレス応答時の輸送反応を試験管内で再構築し、輸送活性を指標にHsp70を核に輸送する運搬体分子を同定した。データベース上では機能未知と登録されていたこの分子を、私たちは “Hikeshi”と命名した。Hikeshiを除去すると、ストレス要因を除いてもストレス状態から細胞が回復せずに死滅するからである。Hikeshiが担う輸送は、Hsp70のATPaseサイクルを制御するコシャペロンを必要とすることから、シャペロンシステム全体が関与すると考えられる。本セミナーでは新規輸送のメカニズムとその細胞機能を議論する。

Reference
(1)Kose S, Furuta M., Imamoto N. (2012). Hikeshi, a nuclear import carrier for Hsp70s, protects cells from heat-shock induced nuclear damage.  Cell  149, 578-589
(2)Imamoto N, Kose S (2012). Heat-shock stress activates a novel nuclear import pathway mediated by Hikeshi.  Nucleus , in press

問合せ先 動物細胞工学
河野 憲二 (kkouno@bs.naist.jp)

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