NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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走化性細胞における自発的な極性形成と応答に、実験と理論からアプローチする

演題 走化性細胞における自発的な極性形成と応答に、実験と理論からアプローチする
講演者 柴田 達夫 博士(理化学研究所・発生再生科学総合研究センター)
使用言語 日本語
日時 2011年11月30日(水曜日) 16:00~17:00
場所 L12会議室
内容
細胞の走化性は,細胞が外部の化学物質の濃度勾配を感知し、それに対して方向性のある運動を示す性質で、単細胞生物の環境探索や多細胞生物の形態形成に重要な細胞機能のひとつです。濃度勾配を認識するために,細胞はその前後でシグナルの濃度を検出し,その情報を散逸することなく比較し,濃度の高い方向を計算する必要があります。一方、走化性運動をする細胞は誘因シグナルのない状態においても,自発的に細胞極性を作り出しランダムな方向に向かって運動を繰り返します。そのために細胞は外部のシグナルに依存することなく自発的に空間的に一様状態の破れたシグナルを細胞内に形成する必要があります。本研究では、走化性シグナル伝達系の鍵となる反応であるイノシトールリン脂質シグナル反応が、外部のシグナルのない状況においても自己組織化的な自発的活動をしていることを見いだし、1細胞蛍光イメージングとその統計的な解析によってその動態を抽出しました。さらにそれにもとづいた数理モデルを構築し解析することによって、自発的な活動のメカニズムを解明しました。その結果、細胞は恒常的に極性を作る場合と、確率的に極性を作る場合のあることが、モデルと実験の両方から分かりました。理論的にはこれらはイノシトールリン脂質シグナル反応の振動的性質と興奮的性質に関係しています。さらに、数理モデルを通じて外部に走化性誘引物質のある場合に、このような自己組織化が緩やかな勾配認識に高い感受性を示すことを明らかにします。
問合せ先 遺伝子発現制御学
別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp)

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