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タンパク質ネットワーク解析グループ

タンパク質ネットワーク解析グループでは、目的とするタンパク質の精製やタンパク質相互作用因子の探索、タンパク質複合体の解析に関わる手法の開発ならびに研究の指導を行っています。

 

(fujimasa@bs.naist.jp)

プロジェクト

タンパク質ネットワーク解析グループでは、植物を材料としてタンパク質精製技術の改良及び応用例の提案を行っています。
本グループでは、植物個体や培養細胞の生細胞中での相互作用因子の探索や複合体の解析を密度勾配遠心法やカラム精製などの生化学的手法を用いて解析しています。

1. タンパク質相互作用因子の探索、タンパク質複合体の解析

タンパク質はそれぞれの性質に合わせて適切な抽出、解析法を確立しなければなりません。
我々はこれまでのノウハウを生かし、さまざまなタンパク質の相互作用因子探索、複合体解析を行っています。
また抗原作製やin vitro結合実験に使用するためのタンパク質を大腸菌で発現させ、カラム技術を用いた精製を行っています。

  • 密度勾配遠心法、ゲルろ過クロマトグラフィーによる複合体の解析
  • 免疫沈降によるタンパク質相互作用解析
  • 各種カラムを用いた特定タンパク質の精製
  • 大腸菌でのタンパク質発現・精製

2. イネ自然免疫を制御するOsRac1複合体の解析

イネはさまざまな病原体から身を守るため、高度な免疫機構を備えていることが明らかになっています。
低分子量Gタンパク質OsRac1はこの免疫機構を制御する重要な因子として機能していることが知られており、我々はOsRac1がイネ生細胞中で複合体を作っているかどうかをゲルろ過クロマトグラフィーで解析し、実際に複合体を形成していることを明らかにしました。
さらに詳細な解析を現在行っています。

植物免疫を制御するOsRac1複合体のモデル図
図 植物免疫を制御するOsRac1複合体のモデル図

植物が病原体の侵入を認識後、OsRac1を中心とする複合体が免疫応答を制御し、活性酸素の産生、リグニン合成、PRタンパク質やファイトアレキシンの発現を誘導する。
DefensomeのメンバーとしてOsRAR1(RAR1)、OsSGT1(SGT1)、RACK1A、HSP70、HSP90が発見された。
A、B、Cは未知のDefensome構成因子を示す。

ゲルろ過カラムにより分画されたOsRac1複合体
図 ゲルろ過カラムにより分画されたOsRac1複合体

イネ免疫機構を制御するOsRac1複合体を解析するためにゲルろ過により分離。
OsRac1単量体が存在する画分に比べてはるかに大きな画分にOsRac1が存在することがわかった。
またOsRac1を相互作用しているタンパク質のいくつかも同じ画分に存在している。

発表論文リスト

  • Maekawa, S., Inada, N., Yasuda, S., Fukao, Y., Fujiwara, M., Sato, T., and Yamaguchi, J. (2014) The C/N regulator ATL31 controls papilla formation in response to powdery mildew fungi penetration by interacting with SNARE SYP121 in Arabidopsis. Plant Physiol., 164 (2), 879-887.
    PubMed
  • Chen, L., Hamada, S., Fujiwara, M., Zhu, T., Thao, N.P., Wong, H.L., Krishna, P., Ueda, T., Kaku, H., Shibuya, N., Kawasaki, T., Shimamoto, K. (2010) The Hop/Sti1-Hsp90 chaperone complex facilitates the maturation and transport of a PAMP receptor in rice innate immunity. Cell Host Microbe. 7(3), 185-196.
    PubMed
  • Fukao, Y., Ferjani, A., Fujiwara, M., Nishimori, Y., Ohtsu, I. (2009) Identification of zinc-responsive proteins in the roots of Arabidopsis thaliana using a highly improved method of two-dimensional electrophoresis. Plant Cell Physiol. 50 (12), 2234-2239
    PubMed
  • Sato, A., Sato, Y., Fukao, Y., Fujiwara, M., Umezawa, T., Shinozaki, K., Hibi, T., Taniguchi, M., Miyake, H., Goto, D.B., Uozumi, N. (2009) Threonine at position 306 of the KAT1 potassium channel is essential for channel activity and is a target site for ABA-activated SnRK2/OST1/SnRK2.6 protein kinase. Biochem. J., 424 (3),439-448.
    PubMed
  • Peng, L., Fukao, Y., Fujiwara, M., Shikanai, T. (2009) Efficient operation of NAD(P)H dehydrogenase-dependent cyclic electron flow requires the supercomplex formation with photosystem I via minor LHCI in Arabidopsis. Plant Cell 2009, 21 (11), 3623-3640
    PubMed
  • Fujiwara, M., Hamada, S., Hiratsuka, M., Fukao, Y., Kawasaki, T., Shimamoto, K. (2009) Proteome analysis of detergent-resistant membranes (DRMs) associated with OsRac1-mediated innate immunity in rice. Plant Cell Physiol. 2009, 50 (7), 1191-1200.
    PubMed
  • Igawa, T., Fujiwara, M., Takahashi, H., Sawasaki, T., Endo, Y., Seki, M., Shinozaki, K., Fukao, Y., Yanagawa, Y. (2009) Isolation and identification of ubiquitin-related proteins from Arabidopsis seedlings. J. Exp. Bot. 60 (11), 3067-3073
    PubMed
  • Hamada, T., Igarashi, H., Taguchi, R., Fujiwara, M., Fukao, Y., Shimmen, T., Yokota, E., Sonobe, S. (2009) The Putative RNA-Processing Protein, THO2, is a Microtubule-Associated Protein in Tobacco. Plant Cell Physiol.50 (4), 801-811
    PubMed
  • Minami, A., Fujiwara, M., Furuto, A., Fukao, Y., Yamashita, T., Kamo, M., Kawamura, Y., Uemura, M. (2009) Alterations in Detergent-Resistant Plasma Membrane Microdomains in Arabidopsis thaliana During Cold Acclimation. Plant Cell Physiol., 50 (2), 341-359
    PubMed
  • 藤原正幸・島本 功 (2009) 植物の免疫機構を制御するタンパク質複合体“Defensome”-低分子量Gタンパク質OsRac1が関わる免疫システム- 日本農芸化学会編集 化学と生物 学会出版センター刊行 2009, pp 378-380.
  • 藤原正幸・島本 功 (2009)イネの植物免疫反応を制御するタンパク質複合体Defensomeについて 農林水産技術 研究ジャーナル 農林水産技術会議事務局が選んだ「2008年農林水産研究成果10大トピックス」 2009, pp 34-37.