各班別研究内容の概要
研究項目 A01 ―生存戦略研究―
研究項目 A02 ―成長戦略研究―
研究項目 A03 ―モデリング研究―
研究課題名:植物システム制御の数理モデリング
- 研究代表者
- 佐竹 暁子(北海道大学大学院地球環境科学研究院・准教授)
近年、モデル植物を対象として、成長生存やストレス応答の分子メカニズムに関わる知見が急速に蓄積され、細胞分裂サイクルの制御や水や高温、そして酸性土壌などのストレス環境耐性に関わる遺伝子の同定や機能解析が進んでいる。このように各々の部分的なプロセスにおいて遺伝子やタンパク質の働きに関する知識が拡大してきた現在、部分的な知見を結びつける数理モデルを構築し、植物がいかに個体として生産性を高め多様な環境に適応しているのか、その植物システムの論理を明らかにすることが今後の課題である。本研究では、数学モデルとコンピューターシミュレーションを駆使することで、植物個体の成長生存戦略の分子メカニズムを理論的に明らかにすることを目的とする。植物の器官成長・栄養塩の吸収と輸送・光合成による同化産物蓄積過程を定式化した数理モデルを開発することで、(1)土壌養分条件と光・温度条件に応じて、地上部と地下部のバランスや生育速度がどのように変化するか、(2)特定の環境で高い生産性を実現するためにはどのような遺伝子間相互作用が必要か、(3)地球環境変化の影響下で安定な作物生産を行うために何が必要か、を理論的に明らかにする。