ごあいさつ

Jian Feng Ma

平成22年に発足した新学術領域研究「大地環境変動に対する植物の生存・成長突破力の分子的統合解析(略して植物の環境突破力)」が今、中間折り返し地点にさしかかっています。これまでに10名の計画班員と24名の公募班員は、植物の環境突破力を分子レベルで統合的に解明することを目標に、着実に成果を上げてまいりました。班員による発表論文の総数は200報近くになり、そのうち、インパクトファクター5以上の雑誌に発表した論文は65報に上ります。また多くの成果は新聞やテレビなどに取り上げられ、新領域の形成に向けて良いスタートを切ったと思います。

本領域は三つの研究班(生存戦略班、成長戦略班、モデリング班)を設けていますが、これまでに領域会議、若手の会などを通じて、活発な領域内の連携を促してきました。その結果、領域内共同研究は133件に上り、特に本領域が目玉としているモデリング研究と実験系の共同研究は33件あります。また共同研究の成果も論文や学会発表として表れ始め、今後の展開が楽しみです。さらに若手の育成に欠かせない様々な企画も行ってきました。

「植物環境突破力」を社会に理解していただくために、積極的な広報活動を行ってきました。これまでに本領域が主催した国際シンポジウムは3件、国内シンポジウムは4件あります。特に昨年12月に開催された国際シンポジウムでは、震災後にもかかわらず、多くの外国の参加者を得て、異分野融合のシンポジウムとして高い評価をいただいております。

多彩なアウトリーチ活動も地道に行っております。小学生の田植え、稲刈り体験、小学校や高校での出前授業、これまでに行ってきたアウトリーチ活動は30件以上になり、アンケートを取った結果、9割以上の方から高い評価をいただいております。

今年は当領域の中間評価に当たり、9月12日に文科省で中間ヒアリングを受けた結果、Aの評価をいただきました。これを励みに、後半でも共同研究をより効率よく推進し、植物の持つ巧みな環境突破力をさらに解明していきたいと考えております。

2012年 秋

大地環境変動に対する植物の生存・成長突破力の分子的統合解析
領域代表  岡山大学資源植物科学研究所  馬 建鋒