バイオイメージングチーム

バイオイメージングチームでは、様々な蛍光タンパク質、蛍光物質を用いた細胞観察に関する新技術・ツールの開発、及びそれら技術を用いた研究指導を行っています。また、植物ユニットが所有する2台の共焦点レーザー顕微鏡、1台の高速スキャニングシステムの管理、使用者トレーニングを行っています。

メンバー

inada チームリーダー:稲田のりこ(E-mail: norikoi at bs.naist.jp)

nakagawa 技術補佐員:中川志都美(E-mail: shitomina at bs.naist.jp)

プロジェクト

  1. 植物細胞発現用蛍光タンパク質ベクターの開発

    新規の蛍光タンパク質を積極的に植物に応用し、植物細胞における使用についてのリソース作りを行っています。また、各色蛍光タンパク質を、簡便に自分の興味のタンパク質につなげて植物で発現させることが出来るゲートウェイベクターの開発も行っています。

    研究者の方々に、これらゲートウェイベクターの分与を行っています。詳細はこちらまでお問い合わせ下さい。

    fig1図1.目的タンパク質に各色蛍光タンパク質をつなげるゲートウェイベクターを用い、各オルガネラを様々な色でラベルするラインの開発を行った。これらのオルガネラマーカーコンストラクトを、タマネギ表皮細胞で一過的に発現させ、Olympus FV1000共焦点レーザー顕微鏡で取得した画像を示したもの。

  2. 蛍光寿命測定法を用いた細胞内環境可視化

    蛍光寿命測定法(Fluorescence Lifetime Imaging Microscopy, FLIM)は、それぞれの蛍光物質、蛍光タンパク質が持つ寿命(励起されてから蛍光を発して基底状態に戻るまでにかかる時間)を可視化して解析出来る技術として、現在非常に注目されています。蛍光寿命は個々の蛍光物質が持つ固有の値ですが、この値は、蛍光物質が置かれる環境によって変化することが知られています。蛍光寿命に変化を与える要因として、蛍光共鳴エネルギー移動(Forster Resonance Energy Transfer、FRET)、pH、酸素濃度などが知られています。バイオイメージングチームでは、FLIMを用いたFRET測定や、細胞内微小環境の可視化に関する新手法開発を行っています。

    fig2図2.pH指示蛍光色素BCECFをタマネギ表皮細胞にロードし、その後イオノフォアと各pHに調製されたバッファーでタマネギ表皮細胞を処理、細胞質のBCECFの蛍光寿命を測定した。蛍光寿命の長さを疑似カラーで示してある。pHによってBCECFの蛍光寿命が変化することがわかる。

  3. うどん粉病菌応答に関わるシロイヌナズナ因子の解析

    私たちのグループは、うどん粉病菌が感染したときのシロイヌナズナの防御応答機構に興味を持ち、研究を行っています。うどん粉病菌は、千種以上の植物に感染し、毎年多大な被害を及ぼしているカビ病原体です。うどん粉病菌は、組織の表皮細胞特異的に感染し、組織表層で成長・繁殖するという、非常に特異な生活形態を持っています。この特徴を活かし、感染に際しての感染細胞内の動態変化、うどん粉病菌への防御応答に働く因子の動態観察を、イメージングを始めとした様々な手法により解析しています。

    fig3図3.シロイヌナズナの葉表面で成長・繁殖するうどん粉病菌(Golovinomyces orontii)の走査電子顕微鏡写真

発表論文リスト

  • Nagano, M., Ihara-Ohori, Y., Imai, H., Inada, N., Fujimoto, M., Tsutsumi, N., Uchimiya, H., Kawai-Yamada, M. (2009) Functional association of cell death suppressor, Arabidopsis Bax inhibitor-1, with fatty acid 2-hydroxylation through cytochrome b. Plant J. in press.
    PubMed
  • Strawn, M.A., Marr, S.K., Inoue, K., Inada, N., Wildermuth, M.C. (2007) Arabidopsis isochorismate synthase functional in pathogen-induced salicylate biosynthesis exhibits properties consistent with a role in diverse stress responses. J. Biol. Chem. 282(8):5919-5933
    PubMed
  • Braun, D.M., Ma, Y., Inada, N., Muszynski, M.G., Baker, R.F. (2006) tie-dyed1 Regulates carbohydrate accumulation in maize leaves. Plant Physiology 142(4): 1511-1522
    PubMed
  • Inada, N., and Wildermuth, M (2005) Novel tissue preparation method and cell-specific marker for laser microdissection of Arabidopsis mature leaf. Planta 221, 9-16
    PubMed

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